なんだか悲しくなって、ケンタはホロリ・・・と涙のしずくがこぼれます。
それに気付いたタカシくんは、あわてて
「ゴメン。ボク・・・ケンタくんのこと、怒ってるわけじゃないんだ」
と、なぜかオロオロとした口調で、泣きだしそうに顔をクシャクシャに
しました。
ケンタ自身、なぜ自分が泣くのかわからなくて、驚いていたし、
タカシくんも、どうしたらいいのか、わからなくて、戸惑って
しまいます。
すると、にわかに子供たちも、ザワザワとして、ようやく先生も
異変に気付きます。
「ケンタくん、一体どうしたの?」と聞きます。
タカシくんは、顏を真っ赤にして、
「ボクが泣かしたわけじゃないんです」
と、あわてて否定すると、ケンタは鼻水をこぶしでグイッとぬぐうと、
大きくうなづきます。
先ほどまでしかめっ面をしていたショータくんが、憎々し気に、
「あいつだよ、あいつ!」
とまっすぐに、部屋の隅にいる少年を指差しました。
「カイくん」
タカシくんも、一緒に指差すと、先生は困ったような顔をしました。
さすがの先生も、しょっぱななので、怒りにくいのでしょう。
ケンタを見ると、
「どうしたの?」と聞きます。
ケンタは、鼻をすすり上げると、黙って頭を振りました。
