「ところでさ」

ふいに、幸次郎が声を上げます。

先ほどまで黙り込んで、何やら調べものをしている様子。

顔を上げて、善行たちを見ています。

「なにか、反応はあったか?」

いきなり言うので、何のことだか、わかりません。

それから、1拍おいて、「あぁ」と克也が言うと、

「飾り棚のこと?」

と聞くと、幸次郎はうなづきました。

妙にニヤニヤしているので、なんだろ、と善行はいぶかしく思います。

「別に・・・まだ、なにも」

と言うと、「別の意味で、反響はあったけどな」

と、急いでつけたします。

商店街の人たちが、新しい模様替えをいたく気に入りまして、

自分達も起死回生をかけて、リフォームして欲しい・・・と言いだしたのです。

「あ、それは、予想外だった」

ニヤニヤしたまま、深くうなづいています。

まだ、さほど反応もなく、変わらぬ毎日です。

初めは、人形をめぐって、争いごとが起きても困るな・・・と思っていましたが、

杞憂に終わり・・・例のおばあさんに、なんと報告したものやら・・・と

別の心配をしています。

がっかりするのではないか・・・

もしかして、誰か欲しがったりしないだろうか・・・と。

思ったよりも呆気なく、そして素っ気ない日々に・・・

ホッとすると共に、なんだか物足りなくて、がっかりしたり。

案外、そんな非現実的なことは、起こらないものなのかもしれません。

「例の・・・人形コレクターが来たか?」

すました顔で、幸次郎が聞くと、

なんだ、それ?と思ったけれども、ようやく思い出して

「いや、それはまだ」と、深い思い入れもなく、淡々と答えました。

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