ケンタは、その男の子をじぃっと見つめると、タカシくんに確認するように、

振り向きました。

年は、ケンタたちと同い年くらい・・・

だけど隅っこに陣取って、少しも動く気配がありません。

それでもこちらが気になるのか、こちらの方を、うかがっているのです。

 

「ケンタくん、こっち」

そんなケンタのことを、タカシくんは小声で呼びながら、引っ張るのです。

ケンタは、それにもかまうことなく、その少年の側に近付いて行き、

その隣にしゃがみ込みました。

すると、教室の子供たちは・・・

「え、ケンタくん!」

「なにやってんだよ」

口々に、呆れた声を出しています。

タカシくんは、戸惑って、ケンタの方を見ながら、おろおろしています。

少年は膝をかかえたまま、黒くて陰りのある瞳を、ケンタに向けました。

その洞穴のような、うつろな瞳は・・・初めて動く人を見るように、

動揺の色が浮かんだように見えました。

 

「ケンタくん、こっちへおいでよ」

タカシくんは、どうしたらいいのかわからず、困った様子で・・・

オロオロと泣きだしそうな顏をして、ますますウロウロして、

目をシバシバさせて、ケンタに呼びかけました。

 

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