ケンタの視線を感じて、タカシくんは、にこやかに、まるで内緒の話をするように、

声をひそめました。

「アイツ、ああしてずーっと、人のこと、見てるんだ」

と、耳打ちしました。

「アイツ・・・何を考えているのか、わからないんだ」

 

 タカシくんは、ふだんはとてもおとなしくて、いつも黙ってみんなの後ろに

いるような、そんな男の子です。

タカシくんのところは、お父さんが病気で入院しているので、

お母さんが1人で働いて、タカシくんと、妹のサチエちゃんを、この保育所に預けて、

働いているのです。

ケンタとは、いつもお迎えが1番最後になる・・・という共通点があり、なんとなく

遊んでいるうちに、仲良くなったのです。

いつもは1人で、絵本を読んだり、黙って砂場で遊んだりしていて、

自分からみんなの輪に入って行ったりしないのです・・・

だけど、最近すっかり、タカシくんはケンタに親しみを感じているようでした。

今朝も、ケンタが来るのを、待ち構えていたのです。

タカシくんは、ケンタが荷物を置くのを見届けると・・・

すぐさま、部屋の反対側の隅っこに引っ張って行くと、

「アイツさ、あそこから、動かないんだぜ。

声をかけても、知らんふりするし・・・」

と言うので、ケンタは「えっ?」と思い、ためしにずんずん近付いてみました。

部屋の隅っこには、浅黒い顔の男の子が座っていました。

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