ケンタは、この自称魔法使いのメアリーさんと、手をつないで
歩き始めました。
すっきりと広がる青空と、かすかに風に吹かれて、あちこちに
色とりどりの花が揺れています。
メアリーさんは、それを見渡すと・・・
「あのお庭に行ったら、もっとすごいわよ」と言って、ケンタを見ます。
ケンタは、メアリーさんを見上げると、
「あのお庭って・・・前に1度だけ行ったとこ?」
好奇心に目を輝かせて聞きます。
すると「そうね~」と大きくうなづきます。
「きっと、とってもきれいよ!」と楽しそうに言うと、
ケンタはひどく、行ってみたくなりました。
ある日のこと、この日もいつものように、母さんと保育所へ向かうと・・・
「せんせい、おはよう!」
と、元気よく声をかけて、靴を脱ぎ捨てます。
母さんはあわてて、その靴を拾うと
「ケンタ、ちゃんと靴箱に入れなさい!」
と、その背中に声をかけました。
ケンタはというと、その声が聞こえる前に、スタスタと教室の方へと、
足を進めました。
これもまた、いつもの光景です。
「ケンタくんのお母さん、おはようございます」
先生は、にこやかに近付くと、
「今日もお願いします」と言って、ケンタの荷物を渡すのも、
いつもの光景です。
大人たちは、顏を見合わせると、
「ケンタくんは・・・今日も元気そうですね」
と、笑いながら先生は言いました。
すると教室から、「ケンタくん、オハヨー」という声が、
聞こえてきました。
