「ボクはもう大きいんだから、小さい子供扱いしないで」
少し不満そうに、ケンタが言うのを・・・
「ごめんごめん」とメアリーさんは、楽しそうに笑います。
「私はね~ピエロをしてたから、そういうの、得意なのよ」
そう言うと、ヒョイ、と杖を手の上に乗せました。
ケンタは「うわぁ」と目を丸くして、メアリーさんのことを
見つめました。
さらに、手の上の杖をヒョイ、と放ると、バランスよく、おでこの上に
乗せます。
その様を、ケンタは口を大きくあけて、しばらく固まっていました。
そうして、ようやく目をみはり、
「すごいすごい」
これでもかというくらい、大きな目で、メアリーさんを見ると、
「これって、あれだね!」
と言うと・・・メアリーさんはニッコリと笑い、
「ピエロ?」
「そう・・・」
ケンタがうなづくのを、穏やかな瞳で見ると、
「よく、わかったわね」と微笑みました。
「だって、さっき言ってたでしょ?」
「そうだったわね」
ケンタの指摘に、楽しそうにうなづきます。
その日はとにかく、ケンタにとって、色んなことばかりでした。
知らない人と、半日過ごすのも、初めてでした。
そして、友達の家に預けられなかったことも、メアリーさんと過ごしたのも、
初めての経験でした。
こういうのも、なんだかワクワクして・・・明日も続くのかな、と思うと、
楽しみになる、ケンタだったのです。
