夢かと思ったけれど・・・目が覚めても、確かに紫のバラがあったから、
夢ではないんだ・・・と、ケンタは確信したのです。
母さんは半信半疑で、
「ホントに、そんなところ、あるの?」と本気にしてくれませんでしたが・・・
「それなら、あれはなに?」
「誰かに、もらったんじゃないの?」
と、笑いながら言い、ケンタの顔を見てから、
「ならば・・・行ってみたいわ」
と言うので、ケンタは自分の覚えている限りの道を行きましたが、
小さいケンタの記憶にも限界がありました・・・
どうしても、あの花園には行きつかなかったのです。
「おかしいなぁ」
ケンタは頭をひねりましたが、あれは、一体どこだったのだろう・・・
またメアリーさんに会ったら、聞いてみよう・・・
そう思って心にとめていたのです。
あれから、メアリーさんを探したけれど、中々会えず・・・
ようやく今日、会えたのです。
「ボク、探したんだよ」
メアリーさんを見上げて、訴えます。
そのつぶらな瞳に、メアリーさんは苦笑いをして、
「ごめんなさいね・・・」と言います。
「ずいぶん、探したんだよ」
「そうなの?」
「行ってみたんだよ」
ケンタは真剣な瞳で、言います。
「そうだったの?」
「でもね、見つけられなかった・・・」
残念そうに言うケンタに、「ごめんなさいね」と、慰めるように、
そっとケンタの肩に手を置きました。
