「あんたたちも、ご苦労様だね」
肉屋のオバサンは、にっこり笑うと、手早く紙皿を取り出します。
「しっかり食べて、いいようにしてあげてよ」
ウィンクすると、紙皿にドーナッツを1つ多めに載せると
「ごちそうになります」
見た目に似合わず、礼儀正しく頭を下げるので、善行も
少しばかり見直していました。
金髪で、ピアスをジャラジャラつけているけれども、心根の優しい青年なのです。
案外、キチンとした家庭で育てられたのか・・・育ちの良さを
感じました。
揚げたてのドーナッツが、一通りいきわたると、各々が、とても幸せそうな顏
をして、大きな口を開けてほうばりました。
ホロホロと香ばしくて、ほんのり甘い・・・
みんな、うっとりとした、いい笑顔です。
「ゼンコーさんも、おひとつどうぞ」
みんなの笑顔に、満足そうな顏のオバサンは、善行にも1つ、紙皿にのせて、
目の前に置くと・・・
「ずいぶん、大そうなことになってるねぇ」
善行の隣に、ドカリと、腰を下ろしました。
「ん、まぁ・・・そうだな」
善行もうなづいて、腰を下ろします。
「ボクも、まさか・・・
ここまで大きなことになるとは思わなかった」
チラリと、オバサンの入れたコーヒーを飲んでいる、若者に目をやりました。
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