「おや、ミツキちゃんも来てたのかい?」

相変わらず、肉屋のオバサンは大きなお皿を手に持って、現れました。

さっそく、善行の方に目をやると、

「悪いけど、手伝ってくれないか?」と聞きました。

善行はうなづくと、トシオがいないか・・・と、振り向きます。

するとオバサンは、善行をこづき、

「ゼンコーさん、あんたに言ってるんだよ」と言いました。

「ああ、そうか・・・すまない」

言われるままに、ひとまず机のものをどけて、片付け始めます。

釘やら、ネジやら、フックやら・・・

様々な金具や道具を片づけると、オバサンはそっと静かに、

かついでいた皿を下ろしました。

それを、遠まきで見ていた子供たちは、ワッと、嬉しそうに歓声を上げて、

近付いてきます。

「いつもすまないね」

申し訳なさそうに、善行が声をかけると、

「なんのこれしき・・・」とオバサンは頼もしい声で、うなづきました。

「ところで、なにしてるんだい?」

オバサンは、部屋の中をキョロキョロと、見回します。

そこには、子供たちも取り囲んでいます。

まだ、部屋の隅では・・・若者たちが、にぎやかしくトンカチをたたいたり、

木材を切ったりして、作業を続けていました。

オバサンの視線に気づいて、

「出窓をね、作ろうと思って」と善行は、オバサンの視線の先を見やりながら、

にこやかに言うのでした。

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