「この子、こう見えて、ゼンコーさんのこと、好きなんだよ」
オバサンの言葉が、あまりにも意外だったので、善行は
「まさか!」と、声をあげます。
そして、悔しいけれど、この方・・・
「ボクなんかよりも、よっちゃんの方だろう?」
と言うと、肉屋のオバサンは、ニヤリ・・・と笑い、
「そう思うでしょう?」と言いつつも、
「だけど、私は、違うと思うよ~」
オバサンは珍しく善行に向けて、ウィンクしました。
「あの子が、いつも来るのは、よっちゃんのとこじゃなく、
ゼンコーさんの家だろ?」
「いやいや、それは・・・」
善行は思い出します。
初めて、ミツキちゃんがこの家に来たのは・・・シロのことが
あったからなのです。
「シロのことがなければ・・・おそらく、ここには来なかったはず」
と言うと、オバサンは
「それだけじゃないとおもうけどなぁ」
と、なおも引き下がりました。
結局は・・・肉屋のオバサンに言いくるめられて、善行がミツキちゃんを
預かることになりました。
ひとまず、母親さがしがすむまで・・・の約束です。
もちろん、子育ては、亡くなった奥さんにまかせきりだったので、
善行としても、小さな女の子の相手は、自信がありません。
「ボクじゃムリだよ」と言う善行に、
「なら」と、名乗りをあげたのは、やはりオバサンで・・・
「日中は、ゼンコーさんでも、どうにかなるだろ?
なら、夕方からは、うちで面倒見るよ」
と、オバサンの提案をのむことにしました。
とにかく一人にはできないので、ひとまずこのローテーションで
様子を見て、この間に、母親が見つかればいいのだが・・・ということに
なりました。
善行も、ひとまず安心です。
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