岸本先生に、背中を押されて、吉川先生は、ハッと我に返ったようになり、
「うん・・・あ、そうだな」と、あわてたように言った。
2人がようやく腰を上げたので、用務員のオジサンは、少しホッとした顔になり、
「今日は、中々楽しいひとときを、過ごさせてもらったよ」
と言うので、ホントか?と思う。
「また、話をしに、いらっしゃい」
今度は、笑顔まで見せて、好意的に、手まで差し出すので、
岸本先生はとまどいつつも、
「なら、近いうちに」
と、すかさず手を握り、
「明日にでも」と、吉川先生が続けて言う・・・
さすがにそれには、岸本先生も、オジサンも面食らったようだが、
「あ、どうぞ」と、返答するしか、なかったと見て取れた。
岸本先生は、引き立てるように、吉川先生の背中を押すと、
まだもの言いたげに、
「最後に、もう1つだけ」
と、思い余ったような声が、背中に飛んできた。
先生たちは足を止め、振り返ると、真剣な顔をしたオジサンが
こちらを見ていた。
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