みんなが「えっ?」とユウタを見ると、恥ずかしそうに頭をかいて、
「だって、そうでしょ?毎回10年も埋めてたら、一杯にならないかなぁ。
掘り出す時、間違えたり、しないのだろうか?」
と、やけに真剣な顔をして言うので、みんな、納得したように、うなづいて聞いています。
それを聞いて、おじいちゃんは、
「それは、大丈夫」と笑いながら言いました。
「その年ごとに、先生たちが記念樹を決めて、植える位置を決めるんだ。
そこで間違えないように、印をして・・・ほら・・・みんな知らないか?
時折、小さな石が植わってるの」と言うので、ユウタとソウタは、(そうだったっけ)と
顔を見合わせました。
「あっ、やっぱりそうなんだ!」
ケンタの母さんが、思わず、声をあげました。
「あの石、なんだろうって、男子が堀りおこそうと、したこと、あるわ」
と言うので、おじいちゃんは、これもまた、楽しそうに笑うと、
「掘らないように、コンクリで、固めてあるはずだ」
と言って、
「え、そうなんだぁ~」
ユウタが、ひときわ大きな声を出し、各々、納得しているようでした。
みんながそれぞれ、納得している間に、ユウタは、自分が気になることを、
口にしました。
「それで・・・ケンタくんのお母さんは、その場にいたんですか?」