あれ?と思いつつ、それでも便箋を開くと、便箋の上半分に、びっしりとしたためられているのみだった。
しかも、ひどく慌てていたらしく、あの
おばあさんらしくない、非常に乱れた文字だった。

『      岸本先生へ
  お久しぶりです。
  あの晩は、お世話になりました。
   突然姿を消したので、驚かれてること
   でしょう…
   私はとりあえず、無事に生きています。
   おそらく、心配されてると思いますが、
   ご心配なく。

   実は、最悪の事態が起こりました。
   ご存知の通り、死神にバレて、
  今、とある場所に、監禁されておりま  
  す。
  死神から、伝言を頼まれました。
  《命が惜しければ、この件から手を引け
    !そして、おまえの持っている、カギ
     を返せ!
     さもないと、この老女の命は保証しな
      い》
    死神は、怒ると、何をするか、わかりま
    せん。
    ここは、おとなしく従った方が、無難
    だと思います。
    どうか、この件から、手を引いて下さい
    さもないと、今度こそ、何をされるか
     わかりません…》
と、書かれていた。

  岸本先生は、真っ青になり、その指先から、便箋がこぼれ落ちた。
すると、封筒の中に、何かが入っているのがみえた。


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