イベントに参加したお年寄り達は、子供たちに声をかけつつ、付き添いの人に連れられて、病室へと帰っていきました。
善行達は、その様を見るとはなしに眺め、
「そろそろ帰るか?」
と、ようやく我に返って、善行は、腰を上げました。
「あの子達、会えてよかったな!」
 傍らにいる、克也に声をかけると、
「うん」とうなづきました。

    観客席はまばらで、ポチポチとまだ、
患者さんが残っています。
善行は、メアリーさんの姿を探しましたが、ステージ上で、ユリアたちと、話し込んでいるのが、見えました。
その姿は、久しぶりの再会を喜ぶ、オバサンと親戚の子供たちのようでした。

    幸次郎は、チラリと、善行の方を見て、
「どうする?声をかけるか?」
と、聞くけれど、善行は静かに頭を振り、
「いや…そっとしといてあげよう…」
と言うと、よっちゃんの肩を叩きました。


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