「ところで、刑事さん」
 岸本先生は、刑事さんの方に、向き直った。
「ボクはあいにく、小林さんの1件は休んでいたために、知らないんですけど、
何があったんですか?」
と、逆に聞いてみた。
向かいに座っていた、教頭先生は、少し眉をひそめた。
隣に座っていた、学年主任は、思わず椅子から立ち上がり、
「もう、お話ししたと、思うのですが!」
と、口をはさんだ。
岸本先生は、チラリと、学年主任を見やると、
(また、始まった…)
と、心の中で、つぶやいた。
しかし、表面上は、とても申し訳なさそうに、恐縮した顔をして、
「すみませんね…でも、とにかく、
とても大事な事なので、恐れ入りますが、
もう少し、詳しく話して貰えませんか?」
と、嫌味なくらい丁寧に、頭を下げた。
すると、学年主任は、思い切り顔をゆがめたが、教頭先生が、
「わかりました」
と言ったので、おとなしく口をつぐんで、
引き下がった。

「そうですね〜私も、あんまり詳しくは、
知らないんですよ〜」
と、少し困ったように言うので、
「わかってるだけで、かまいません。
緊急保護者会を開いた、と聞きました。
その内容でかまわないので、教えて下さい」と言うと、教頭先生は、傍らに座っている、刑事さんの方をチラリ、と、一瞥
した。
すると、年配の刑事さんが、しぶーい顔をしたけれど、若い刑事さんは、
「フム」とうなづいて、
「わかりました、いいですよ!」
と、岸本先生の方を向いて、うなづいた。



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