12時を回る頃、ようやく、飲み会がお開きになりました。
なんだかんだ言いつつ、腰軽く、みんなの世話を焼いていた善行。
ヤレヤレ…と、腰を落ち着けました。
みんなの食べ散らかしたお皿や、コップ類は、ただ一人残った、よっちゃんが手際よく、片付けてくれました。
「なぁ、便利屋止めて、俺と一緒に、
居酒屋しないか?」と、思いついたように言うので、
「しない!」
と、台所の椅子に、腰掛けたまま、即答。
「あら、そ」と言いつつ、少し未練ありげな、よっちゃん。
何か、奥さんとけんかでも、したのでしょうか?
「いいと思うけどな〜、お前の料理。
俺の話術。酒はうちの酒を持ってくるし。
2人でほそぼそとやって、うまく行ったら、バイトを雇おう」
よっちゃんは、妄想の中に、入ってます。
「ベッピンの、若いねーちゃんな!」
善行も、妄想に付き合います。
「う~ん、やっぱり、おっぱいのおっきいお姉ちゃんが、いいな〜」
「よっ!出ました、オッパイ星人!」
善行の合いの手が、入ります。
「お前の母ちゃんのじゃ、物足りないのかぁ~」
へへへ…
よっちゃんは、楽しそうに、笑います。
まるで、学生時代の2人を、思い出してるのでしょうか?
善行は、椅子に座ったまま、よっちゃんの方を、グルリと、首だけ、回して向いてます。
「なぁ」と、よっちゃんに声をかけると、
手際よく、勝手知ったる、他人の家、という感じで、ビールをコップについで、持ってきました。
「ん…ありがとう」
 よっちゃんは、善行の向かいの席を、引いて、腰を下ろしました。
「店の名前な、考えないとダメ?」
「今さら言うか!」
よっちゃんは、呆れたように、善行の方を見て、ため息をつきました。
「お前な、それは、一番初めに、決めるもんだろう?」
「そうなのか?」と善行。
「なら、オマエ、考えてくれよ!」
「逆ギレか?」よっちゃんは、泡を口にむくみながら、善行を見つめます。
「いいじゃないか、『あなたの思い出預かります(仮)で!」
「ダメだろー、これ!」
 あっけなく、よっちゃんに、ダメ出しされてしまいました。

「で、女の子のことなんだけどな…」
善行は、誤魔化すように、つぶやきました。
「ホントは、その場で、断るつもり、だったんだ」と、笑う。
「なに!」と、よっちゃんがかぶせてくる。
「まさかおまえ、バカ正直に、猫を預かっちゃったのか?お人好しにも、程がアルゼ!」
まるで、イタリア人のように、大げさに
首をすくめました。
「まさか!」と笑い、
「人の話を、最後まで、よく聞け!」
と言う。
「はいはい…」
よっちゃんは笑って、ドーゾ、と手招きをする。
改まった様子で、話の続きを聞くのであった。
「あまりにも、女の子が泣くので、母ちゃんは困っちまって、どうにかしろ!と言ったんだ。だけど、ボクは、『便利屋でも、ペットショップでも、ペットホテルでもない』、と言うと、
じゃ、あの猫は、なに?』と言うんだ」
「ほうー、他にいたのか?」
「ボスだよ!」
「あ、そうか」
「ボスが、タイミングよく、フラーっと、女の子の側をすり抜けた。
で、女の子が、『猫ちゃんだ』と言うので、母ちゃんが、
『あの猫は、ここのネコですか?』
と聞くので、
『違う。厳密に言うと、ノラだ。だが、
この辺をフラッと立ち寄る先の1つだ』と答えた。
まあ、そうだろ?」
善行が、お酒が入ったせいか、ことのほか、よくしゃべっている。
「うむ…」よっちゃんは、うなる。
「そこで、『そんな扱いでもいいから、どうにかしてくれ』ときたもんだ。
困った母ちゃんだ。
あー言えば、こう言う。
ダンナの顔が、見たいもんだ。あんな母親に育てられたら、女の子も、苦労するぞ」
ため息をつく、善行に、よっちゃんは、
「お前の意見など、聞いてない」と言う。
「仕方ないやね…とにかく、飼うつもりはないから、そこで、1つ、提案をした」
と、にやっと笑う。
「なんだと思う?」
「さあー?」
よっちゃんは、トボケた顔をする。
「考えろよ、それくらい。考えないと、
ボケるぞ」と、善行は、よっちゃんに言った。


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