《女の子の神隠し事件は、村に大きな波紋をもたらしていた。滝本が先頭となり、
村中の大人達を狩りだして、連日、山狩りをしていた。
村人達も、今度はいつ、自分の子供達がさらわれるかもしれぬ、との思いから、
率先して、捜索にあたっていた。
私達も、参加しないわけにはいかず。
かといって、いやいやでもなかった。
自分たちの『仕事』が、首尾よく進んでるか、チェックする意味もあった。
もちろん、口にはしていなかったが。
そして、計画が成功していることに、ひそかに、ほくそ笑んでいた。
いつものように、穴倉のような、人気のない、スナックで、アイツらと集まっていた。
「バレてないようだな」
家庭教師が言った。
(ここでは、便宜上、名前の代わりに、職業名で、記す)
「そうだな」
秘書も、ニヤリと笑う。
「ここで、バレたら、元も子もないでしょ」
お手伝いさんも、参加する。
「おい、おまえ。こんなトコで油売ってて、いいのか?奥様の側にいないと、いけないんじゃないのか?」
家庭教師は、馴れ馴れしく、お手伝いさんの腕に、触った。
彼女は身をくねらせながら
「だって、あんた、奥様に会うんでしょ?
」
彼女は、家庭教師にしなだれかかった。
「好きでやってるわけじゃないよ。それもこれも、計画のためさ」
彼女は、フフフと笑い、
「奥様も、アンタに惚れてるみたいだし。罪な男だね~」
家庭教師は、まんざらでもない様子で、お手伝いさんの、頬を軽くつまんで、
「誰のためだと、思ってるんだよ~」
と、お手伝いさんに、ウインクすると、
「おい、いちゃつくのは、よそでやってくれ」
シッシッ、という手つきで、弁護士は、睨みつけた。
あ~こわっ!
お手伝いさんは、肩をすくめると、素早く家庭教師にキスをして、その場を去っていった。
ヤレヤレ
家庭教師は、頬をハンカチで拭うと
「キャンキャンうるさい女だよ。」
と言い、コップを口元に運んだ。
「そんなこと、言っていいのかい?」
秘書が下卑た顔で、からかうと、
「女は、めんどくさくて、かなわん」
と、頭を振り、
「まだ、おしめをつけた、赤ん坊の方が
愛想がある」
と、笑った。
しょうがないな、と秘書は、タバコを口にくわえた。
「ところで」
と、弁護士は、私の方を向き、
「お前さんは、どうなんだ?」
と聞くので、仕方なく、「まぁ」とごまかすと、秘書は、「ちゃんと、ヤル気を出してもらわないと、困る」
と、すごんでみせた。
私は、ヤツらの顔を、順繰りに眺めると
「…だけど、やり過ぎじゃないのか?」
と、小さくつぶやいた。
「なに!」秘書は、つかみかからんばかりに、酒で赤らんだ顔を、近づけてきた。
「殺すこと、なかったんじゃないのか?
アイツに罪をなすりつけて、身代金取るので、良かったんじゃないのか?」
私はふと、本音をもらした。
「おい」秘書は、般若のような顔で、殴りつけんばかりに、にらみつけた。
「まさか、サツにチクるんじゃないだろうな?」
その言葉、捨て置けんとばかりに、他の2人も、ジロリと、にらみつけてきた。
ここで、やめる、と言えたら、どんなによかっただろう。
しかし私は、マダ、その勇気は存在しなかった。心の奥底に潜む不信感は、日に日に大きくなっていったが、今更引き返せるわけでもなく。後悔だけが、降り積もっていった。
「大丈夫だ。疑われてない。ヤツは娘のことで、頭がいっぱいだ」
そうか、と、秘書はつかんでいた手を、ゆるめた。しかし、弁護士だけは、
ジッとこちらを見据えていた。
「じゃ、次を、実行にそろそろ移すか」
弁護士は、私達の顔を、グルリと見回した。
「ここで、計画がもれたら、そこでおしまいだ。パアだ。一つのミスも、許されない。確実にするんだ」
その時、蛇のような目つきで、私の方を、睨めつけた。それは、おそらく、気のせいではないはずだ。
「何かあったら、必ず報告してこい。わかったな」
まるで、ヤクザだ。
私の心は、冷たく冷え切った。
ついていけない、正直、そう思う。
ここで、抜けられたら、どんなにいいか。だが、ここは慎重に。ドコかで、計画に揺らぎがでるはずだ。その時を、狙うしかない。私は、ひそかに、そう心に誓っていた。いざという時は、警察に駆け込む気持でいる。
話し合いは、深夜にまで、及んだ》
村中の大人達を狩りだして、連日、山狩りをしていた。
村人達も、今度はいつ、自分の子供達がさらわれるかもしれぬ、との思いから、
率先して、捜索にあたっていた。
私達も、参加しないわけにはいかず。
かといって、いやいやでもなかった。
自分たちの『仕事』が、首尾よく進んでるか、チェックする意味もあった。
もちろん、口にはしていなかったが。
そして、計画が成功していることに、ひそかに、ほくそ笑んでいた。
いつものように、穴倉のような、人気のない、スナックで、アイツらと集まっていた。
「バレてないようだな」
家庭教師が言った。
(ここでは、便宜上、名前の代わりに、職業名で、記す)
「そうだな」
秘書も、ニヤリと笑う。
「ここで、バレたら、元も子もないでしょ」
お手伝いさんも、参加する。
「おい、おまえ。こんなトコで油売ってて、いいのか?奥様の側にいないと、いけないんじゃないのか?」
家庭教師は、馴れ馴れしく、お手伝いさんの腕に、触った。
彼女は身をくねらせながら
「だって、あんた、奥様に会うんでしょ?
」
彼女は、家庭教師にしなだれかかった。
「好きでやってるわけじゃないよ。それもこれも、計画のためさ」
彼女は、フフフと笑い、
「奥様も、アンタに惚れてるみたいだし。罪な男だね~」
家庭教師は、まんざらでもない様子で、お手伝いさんの、頬を軽くつまんで、
「誰のためだと、思ってるんだよ~」
と、お手伝いさんに、ウインクすると、
「おい、いちゃつくのは、よそでやってくれ」
シッシッ、という手つきで、弁護士は、睨みつけた。
あ~こわっ!
お手伝いさんは、肩をすくめると、素早く家庭教師にキスをして、その場を去っていった。
ヤレヤレ
家庭教師は、頬をハンカチで拭うと
「キャンキャンうるさい女だよ。」
と言い、コップを口元に運んだ。
「そんなこと、言っていいのかい?」
秘書が下卑た顔で、からかうと、
「女は、めんどくさくて、かなわん」
と、頭を振り、
「まだ、おしめをつけた、赤ん坊の方が
愛想がある」
と、笑った。
しょうがないな、と秘書は、タバコを口にくわえた。
「ところで」
と、弁護士は、私の方を向き、
「お前さんは、どうなんだ?」
と聞くので、仕方なく、「まぁ」とごまかすと、秘書は、「ちゃんと、ヤル気を出してもらわないと、困る」
と、すごんでみせた。
私は、ヤツらの顔を、順繰りに眺めると
「…だけど、やり過ぎじゃないのか?」
と、小さくつぶやいた。
「なに!」秘書は、つかみかからんばかりに、酒で赤らんだ顔を、近づけてきた。
「殺すこと、なかったんじゃないのか?
アイツに罪をなすりつけて、身代金取るので、良かったんじゃないのか?」
私はふと、本音をもらした。
「おい」秘書は、般若のような顔で、殴りつけんばかりに、にらみつけた。
「まさか、サツにチクるんじゃないだろうな?」
その言葉、捨て置けんとばかりに、他の2人も、ジロリと、にらみつけてきた。
ここで、やめる、と言えたら、どんなによかっただろう。
しかし私は、マダ、その勇気は存在しなかった。心の奥底に潜む不信感は、日に日に大きくなっていったが、今更引き返せるわけでもなく。後悔だけが、降り積もっていった。
「大丈夫だ。疑われてない。ヤツは娘のことで、頭がいっぱいだ」
そうか、と、秘書はつかんでいた手を、ゆるめた。しかし、弁護士だけは、
ジッとこちらを見据えていた。
「じゃ、次を、実行にそろそろ移すか」
弁護士は、私達の顔を、グルリと見回した。
「ここで、計画がもれたら、そこでおしまいだ。パアだ。一つのミスも、許されない。確実にするんだ」
その時、蛇のような目つきで、私の方を、睨めつけた。それは、おそらく、気のせいではないはずだ。
「何かあったら、必ず報告してこい。わかったな」
まるで、ヤクザだ。
私の心は、冷たく冷え切った。
ついていけない、正直、そう思う。
ここで、抜けられたら、どんなにいいか。だが、ここは慎重に。ドコかで、計画に揺らぎがでるはずだ。その時を、狙うしかない。私は、ひそかに、そう心に誓っていた。いざという時は、警察に駆け込む気持でいる。
話し合いは、深夜にまで、及んだ》