一度作ると、さすがに要領を覚えるのか、最初よりは
スムーズに、1個、2個と完成する。
まさに流れ作業だ。
「これがあったら、好きな時に、水がくめるから便利だ」
嬉しそうに颯太が言うので、裕太まで嬉しくなる。
「ねぇ、あそこ、何か見えない?」
すっかり石オノがすり減り、切れが悪くなってきた頃に、
ようやく裕太は、竹の水筒を作るのはやめにした。
「なに?」
颯太が見上げている方向に、首を回す。
「ほら、あそこ!」
颯太の指先が差す方向を、よく見ると…鉄の柱のような
ものが見えている。
「まだ、あったのかぁ」
てっきりアンテナや、竜の飼育小屋があるので、さすがに
もうないだろう…と思っていただけに、裕太は思わず声を
もらす。
「あれ、じいちゃんが言っていたヤツなんじゃない?」
ようやく当初の目的…じいちゃんが、探していたことを
思い出す。
「あれが、そうなのかなぁ」
もっともそれが、そうなのかはわからない。
「ねぇ、見に行ってみない?」
颯太が裕太に尋ねる。
「そうだなぁ~
とりあえず、水はカクホしたしなぁ」
裕太に同意する。

