「へぇ~やっぱりここは、不思議な場所だなぁ」
先生のややはしゃいだ声が響く。
先生は迷うことなくスタスタと、森の中に分け入っていく。
例のごとく、サッサと、竜の社のある方向へと、進んでいる。
まるで通いなれた道を行く…という感じだ。
「なんだぁ~先生!案内しなくても、大丈夫じゃないかぁ」
裕太は呆れたように、声を張り上げる。
先生はグルリと振り返ると
久しぶりに来たけど…案外覚えているもんだなぁ」
何だか子供のように、顔をパァ~と赤らめている。
「そういうもの?」
「そういうものだよぉ」
まだまだ私の記憶も、大丈夫みたいだなぁ~
自慢気な表情を浮かべる。
「ねぇ、ホコラって、この近く?」
颯太が裕太に、確かめるように聞く。
「うん…この森の奥だよ」
「へぇ~」
まるで人に忘れられてしまったような…寂しい場所だ。
「ここって、誰も来ないのかなぁ?」
竜のホコラと言うくらいだから、もっと違うと思っていたのだろう。
「どうだろう?
じいちゃんが言うには、時々手入れには来ているみたい
だけど?」
草がボーボーにはびこっている割には、道がキチンと
出来ているから、まったく人が来ない訳ではなさそうだ…