もりのかぜ・らぼ通信
噴煙を上げる一切経山
紅葉が始まりました

山肌に見える緑色が五葉松
この辺や吾妻山一帯は
日本でも有数の五葉松生産地です

足元には
マイズルソウもピカピカの赤い実をつけています
ホシガラスの野外観察に参加しました
秋は五葉松の球果が稔る季節
ホシガラスはその実を食べたり
貯食する行動をします
お借りして
私も双眼鏡デビュー

一面の五葉松
ギャアギャアという鳴き声が聞こえます
空高く飛んでいるので
スマホではその姿を捉えることはできません

松ぼっくりがたくさん転がっています
彼らの食痕です
また
こんな茂みの石の近くなどに
貯食するそうです
かなり覚えているのだそうですよ

ホシガラス Wikipediaより
普通のカラスより小さく
点々と白い模様があります
忙しく飛び交い
木の上で球果を食べるホシガラス
双眼鏡でやっと見えました
一所懸命食べる姿
なんだか愛おしく感じます

今年は餌となる球果が豊作
彼らが食べられるものは
このような2年もの
これらをくわえて行っては
気に入った場所で(木の上)啄みます
食べるとまた飛んで
くわえて来てはまた食べて・・
ミャーミャーと猫のような声も聞こえました

右のようになると
実は落ちてしまっています
彼らがよくとまる木も
ある程度決まっていて
その辺が飛行経路の時は
必ずてっぺんにとまっていたりします

この鎌沼の周辺では
たくさんホシガラスを見ることができました
その日の行動パターンのようなものがあり
同じコースを行ったり来たり・・

木の道標の上で食べた痕
球果の一枚一枚の間には
2つづつ実が詰まっています
それを動かないように足で押さえながら
その間に嘴を入れて実を啄んでいるのでしょう
この木の間に固定して
動きにくくして
食べやすいように工夫しているんですね

石の窪みにあった食痕
ここも押さえやすいのかな?
食べた後の松ぼっくりを見てみると
時々中に食べ残しが見つかります

今年の球果
来年松ぼっくりになる赤ちゃんです
歩いていると
今年の球果がなかなか見当たりません
・・・ということは
来年は不作と言うこと?
ホシガラスは留鳥
14・5年くらいは生きるのだそうです
ということは
来年は彼らにとって
厳しい年になりそうです
そんな時は
卵の量や大きさなど
生き残りをかけた
彼らなりの知恵があるのだそうです
この山に
以前から登ってはいましたが
今度は植物だけでなく
健気に生きている彼らのことが
身近に感じられ
さらに楽しい山になりました
雨が多い近年
耳に新しいニュースでも
愛媛県の松山城や滋賀県の伊吹山
あちこちで土石流が発生し
尊い命が失われています
そんなニュースを耳にするたび
高田宏臣さん著「土中環境」で
学んだことが頭をよぎり
「・・やっぱり」
と思わずにはいられませんでした
現代の乱開発や現代の土木工事が
日々変化する自然のことわりに
いかに矛盾しているか・・
それが噴き出ている

その高田宏臣さんが
代表理事を務める団体
一般社団法人 有機土木協会 が
今年の7月に活動を開始しました
活動の目的は
伝統的な民間土木の知恵に学び
現代土木の抱えている多くの問題を
解決する視点と工法をともに学び、実践し、
社会に還元するためのプラットホームを
作るためです

自然は日々変化しています
山にしても川にしても・・
現代土木は
その動きをすっかり止めてしまいます
水を堰き止めるダムにしても
土石を止める砂防ダムにしても
力で抑え込む工法です
本来、水や土壌は目に見える部分だけが
動いているわけではありません
雨水は地下に浸透し
川にも岩の間からも湧き出し
また浸透し・・
そんなことを繰り返しながら
木々の根に吸い上げられたり
また川に流れ込んだり・・
それを
コンクリートと重量物で抑え込まれ
行き場がなくなった水は滞水します
そして
それがこらえきれなくなると
自然は
抑え込まれていた力、それ以上の膨大な力を動員して
元に戻ろうとします
・・・それが
時には土石流などの姿で現れる
・・大地は苦しがってる
それが自然からの声なのだと思います

有機土木は
施工そのものが有機的に変化しながら
自然の平衡状態が保たれるよう
構築する工法だそうです
この地球は
私たち人間だけのものではありません
多様な生態系の豊かさがあってこそ
豊かな環境を
次の世代に引き継げるのだと思います
私たち森の風も
学び精進したいと思っています
これを書きていたのが8月
先日
その有機土木の現場を体験することができました
それは次回に・・
昔から関東では
「西の伊勢参り 東の奥参り」
と言われていたそうですが
奥参りとは山形の出羽三山
羽黒山、月山、湯殿山のことで
修験道の聖地です
月山は花の山でもあるので
何度か登っていますが
今回は
羽黒山にも行ってみようと思いました
憧れの階段詣に・・

石段は2446段
途中名物の茶屋などもあるそうです
足腰に自信のない方は
車で(有料道路)本殿近くまで行けるようです
いよいよ
鳥居をくぐり・・

門を一歩踏み入れたところから
緑陰でひんやりとして薄暗く
心が弾みます
祓川
昔はこの川で禊をしてから
お参りしたのでしょうか

いかに水が豊かかが伝わってきます
苔が灯籠の頭から垂れ下がって・・

樹齢1000年と言われる爺杉
胴回り10mの巨杉
国の天然記念物です
昔は婆杉もあったのですが台風で失われたそうです

国宝 五重塔
東北最古の塔で
平将門の創建とされています
現存のものは600年前に
再建されたもの
現在工事中でした

五重塔前の石畳

苔むす石碑

いよいよ石段の始まりです 


両側の杉の根元も・・
苔が美しい

わあ
心が躍る〜

樹齢数百年の巨木の
この杉並木は
ミシュランガイドジャパン三つ星で
「わざわざ訪れたい場所」
にも選ばれているそうです

木の根元に石を刺すのは
伊勢神宮でもたくさん見ました
昔からの土木の知恵なのです

実はこの杉
2本の樹が
枝も根も一緒になってしまっています
一本一本の
その生命力が
この空気感を作っているのだと思います

約半分の位置にある茶屋
せっかくなので一休み
そこから見える景色
霞んでいますが
向こうは日本海・・

まだまだ
これからが本番
ここに居れるだけで
心が喜んでいる

階段の石の隙間からノブキも・・
蝉時雨の中の湿った空気
黙していても
石は静かに物語ってる気がします

緑陰からこぼれる木漏れ日
いにしえ人のノミ跡も
数百年の歴史の中で
幾千万人の一歩一歩が
すり減らしてきました

心が静かに満たされる・・

どこからの距離?
どこまでの距離?

巨木たち
まるで
「どうぞ」と
いざなってくれてるみたい

見上げると・・
その大きさと生命力
誰もが感じ入ると思う

時折
こんな優しいお出迎え

やっと 鳥居が見えた

この本殿は
羽黒山、月山、湯殿山 三神合祭殿
茅葺屋根の厚さがすごいです
月山も湯殿山も2000mクラスの山
そこにお参りできない人は
こちらにお参りすると
3山をお参りしたことになります

お参りして
今度は下ります
石段には
時折、こんなふうに何かが掘られていたりします

その石段に掘られているものの一覧
手拭いになっていました
登るのも必死ですから
全部を見つける余裕はありません 


結構 急なのがわかると思います
一人登ってこられる方が…
登りは 誰もが汗だく
息が上がっているのがわかります
「頑張ってください」
憧れの杉並木の石段
羽黒山神社は
とても素敵な場所でした
オオナンバンギセルが咲く時期に
ぜひ見たい!
と、お願いしていた友人の案内で会えましたヨ

オオナンバンギセル
イネ科の植物から
栄養をいただいている寄生植物で
だから葉もありません
光合成をしない寄生植物なので
少しオドロオドロしているのかな・・
予想していたよりも可愛い花でした 


この山のススキの根元に
あちらこちらに
たくさんの群生が見られました
オオナンバンギセルは
ピンク色が可愛いです
昔見たナンバンギセルは
もう少し小型で
こんなに可愛らしくなかったなあ
一年草らしく
秋に種を飛ばし
また来年寄生して咲くそうです

ここは地元の山
1000m弱の
大将旗山や額取山(ひたいとりやま)の連なり
額取山なんて変な名前ですが
由来は
昔、この辺の国守だった源義家が
元服(額髪をとる)の儀式をしたとの伝説から
また大将旗山は
その軍旗を掲げた山という由来です

松虫草
この山には
時期的に秋の七草をほとんど見ることができました

ヤマユリ
青空が似合う 

朝露に濡れてる
サルトリイバラの実

まだ残っていた・・

オヤマボクチ

朝は濡れていましたが
帰りには乾いて美しいお顔が見れました
カワラナデシコ

ヒカゲノカズラ
普段は地面を這うようにニョロニョロと
苔のような雰囲気のシダ植物ですが
たくさん立ち上がっているのはの胞子嚢
これはこれで綺麗です

秋だなあ 
ワレモコウ

お
きれいに残っていてくれた
うつぼ草

大将旗山から見える猪苗代湖
私たちにとっては
故郷を感じるなあ〜

ヤマハハコ
大好き


いい色

素敵だなあ
エゾアジサイ

なんて可愛い色!!
おとぎ話が出来そう

草ボタン 

種になるところ
やっぱりクレマチスだね 


クルマバナ

帰り道
背丈ぐらいのトリカブトはまだ蕾でした
こちらはオタカラコウ
これも大きい!
まだまだたくさんの植物が見られました
地元の山で
トレーニングにもピッタリ!
でも・・
里山も鬱蒼としていて
一人では怖いなあ〜(熊さんもいるので)

最後に・・
今日のお目当て
オオナンバンギセルでした 
残暑お見舞い申し上げます

日中は蝉時雨ですが
夕暮れとともに
コオロギや虫の声に入れ替わってきます

先日投稿したレンゲショウマの山で
始めて出会った花
この時期に訪れていなかっただけなのか
ここに咲いていたとは・・
キツネノカミソリです
昨年は
同じ県南の別な山で見かけていましたが・・

ちょっと日陰にひっそりと
数株だけでした
お気づきかと思いますが
茎だけがニョッキリと立って
葉がありません
その葉が
剃刀に例えられているのに
その由来の大事なカミソリがない
実は
花の時期には地上部がなくなってしまうんですね
カタクリの咲く頃の早春には
水仙のような細長い葉が茂っています
毎年カタクリに会いに行く新潟の角田山では
その時期
キツネノカミソリと思われる葉の群落が
たくさん見られます
だから夏になると
角田山はさぞキツネノカミソリが
咲いているだろうな・・と思っています

葉がカミソリなら
何が狐なんでしょうか?
いくつか説があるようですが
今回見つけたのは薄暗いくらいの日陰
夜陰に火が点々と見えたり消えたりする
そんな現象を「狐火」と言いますが
このオレンジ色の花が
夜陰に見える火・・の例えに
しっくりくる気がしました
このまま増えてくれることを願って・・

葉がないつながり
かなり背が高くてビックリ〜!!
棒の上に何かがついてる
なんだコリャ??
不思議な・・植物??

てっぺんアップ
マシュマロみたいな
おかきが膨らんできた時みたいな・・
山を降りて・・
グーグル先生によりますと
「マントカラカサタケ」の幼菌
て、ことは
この後、傘が開くキノコらしいです 

マツカゼソウ
目立たない植物だけど
細かい葉と小さな白い花
その佇まいには風情があります
手を伸ばして確認すればよかった・・と
後の祭りですが
ミカン科で柑橘系の匂いがするらしいです
でも
人によっては不快な匂いでもある・・とか
ちょっと触れてくればよかった・・

花火!
トチバニンジンの実が落ちたもの
かわいいね 

ほとんどの紫陽花が咲き終わった頃から
咲き出す タマアジサイ
沢などの水の多いところに咲いています
時には
沢の流れの真ん中の石の上なんかにも
この色合いも素敵です

そしてこの蕾が特徴
名前の由来です
最初は このまん丸から
どうして紫陽花になるのか不思議でした
この周りの総苞が開くと
苞は落ちてしまい
その中から
白い装飾花と紫色の両性花が
拳を開くように現れてきます
この蕾もコロンとして可愛いので
大好きです
里山も歩いてみると
その時期、時期に発見がるものですね

