二幕
第一場 病院
ロッテを連れてきたスイス兵
スイス兵「お疲れです。休ませてさし上げてください」
看護婦1「奥様、こちらにおかけください。お疲れになったでしょう」
ロッテ「夫と息子が…」
スイス兵「ご主人と御子息のことは分かり次第お伝えいたします。それでは」
スイス兵出ていく
ロッテ「二人の消息が分からないと安心なんてできないわ」
看護婦1「ご主人と御子息はけがをされているかもしれません。どこかの病院で治療しているかもしれないのですよ。あなたが倒れてしまっては二人の看病もできませんよ」
看護婦2「そうですよ、お顔の汚れを綺麗にして、手も拭きましょう。お部屋にご案内いたしますからそちらで着替えましょうね」
ロッテ、看護婦に連れられて病棟を横切る。
その中に肩にひどいけがをしているユリウスがいる。
看護婦2「重いけがの患者さんが多い部屋を横切りますので」
ロッテ「まさか、先生?」
看護婦2「その患者さんは肩にひどいけがをして、上体を起こして横向きにしか寝られないのよ。気の毒に疲れをとれないわね」
ロッテ「先生、先生ですよね」
看護婦2「お知り合いなんですか」
ユリウス少し顔を上げる
ユリウス「(弱々しく)まさか、ロッテ」
ロッテ「私のフランス語の先生なんです」
看護婦2「まあ、そうなんですか」
ロッテ「先生、先生は大丈夫なんですか」
看護婦2「命に別状はありません。うまく傷がふさがれば。壊疽や感染症に気を付けなくてはなりません」
ロッテ「先生、苦しくはありませんか」
ユリウス「なぜ君がここに…」
ロッテ「スイスに亡命しよううとして夫とフリッツとはぐれてしまったんです」
ユリウス「フリッツ…ああ(気絶する)」
ロッテ「先生!」
暗転
スイス兵「お疲れです。休ませてさし上げてください」
看護婦1「奥様、こちらにおかけください。お疲れになったでしょう」
ロッテ「夫と息子が…」
スイス兵「ご主人と御子息のことは分かり次第お伝えいたします。それでは」
スイス兵出ていく
ロッテ「二人の消息が分からないと安心なんてできないわ」
看護婦1「ご主人と御子息はけがをされているかもしれません。どこかの病院で治療しているかもしれないのですよ。あなたが倒れてしまっては二人の看病もできませんよ」
看護婦2「そうですよ、お顔の汚れを綺麗にして、手も拭きましょう。お部屋にご案内いたしますからそちらで着替えましょうね」
ロッテ、看護婦に連れられて病棟を横切る。
その中に肩にひどいけがをしているユリウスがいる。
看護婦2「重いけがの患者さんが多い部屋を横切りますので」
ロッテ「まさか、先生?」
看護婦2「その患者さんは肩にひどいけがをして、上体を起こして横向きにしか寝られないのよ。気の毒に疲れをとれないわね」
ロッテ「先生、先生ですよね」
看護婦2「お知り合いなんですか」
ユリウス少し顔を上げる
ユリウス「(弱々しく)まさか、ロッテ」
ロッテ「私のフランス語の先生なんです」
看護婦2「まあ、そうなんですか」
ロッテ「先生、先生は大丈夫なんですか」
看護婦2「命に別状はありません。うまく傷がふさがれば。壊疽や感染症に気を付けなくてはなりません」
ロッテ「先生、苦しくはありませんか」
ユリウス「なぜ君がここに…」
ロッテ「スイスに亡命しよううとして夫とフリッツとはぐれてしまったんです」
ユリウス「フリッツ…ああ(気絶する)」
ロッテ「先生!」
暗転
第二場 病院の中庭
看護婦1「ドーフ夫人、シュタイフ通訳はあなたの先生なんですってね。どうかしら、ここは人手も足りないし、お知り合いなら通訳のお世話をお願いできないかしら」
ロッテ「お役に立ちたいところですが、私なんかで良いのでしょうか。気がすすみません」
看護婦1「わたしはね、奥様は何かしていたほうが良いと思うのです。以前お世話になった方の看護をしながらご主人とお子様の消息を待つのがいいと思うの。人手は本当に足りないのよ。先生のお世話が少しでも行き届いたほうが良いとは思わなくて?」
ロッテ「(しぶしぶ)それでは…お世話させていただきます」
『こんなところであの人に会うなんて
どういう運命なのかしら
いいえ考えすぎよ
ここには傷病兵が集まってくる
当り前のことなのよ
あの人の声
あの人のまなざし
こんな近くにあるなんて』
暗転
ロッテ「お役に立ちたいところですが、私なんかで良いのでしょうか。気がすすみません」
看護婦1「わたしはね、奥様は何かしていたほうが良いと思うのです。以前お世話になった方の看護をしながらご主人とお子様の消息を待つのがいいと思うの。人手は本当に足りないのよ。先生のお世話が少しでも行き届いたほうが良いとは思わなくて?」
ロッテ「(しぶしぶ)それでは…お世話させていただきます」
『こんなところであの人に会うなんて
どういう運命なのかしら
いいえ考えすぎよ
ここには傷病兵が集まってくる
当り前のことなのよ
あの人の声
あの人のまなざし
こんな近くにあるなんて』
暗転
第三場 病院の中庭
腕をつったユリウスとベンチに腰かけているロッテ
ユリウス「本当にありがとう、君のおかげでだいぶ良くなったよ」
ロッテ「先生が良くなってくださって嬉しいわ」
ユリウス「でもご主人とフリッツのことは心配だろう」
ロッテ「いまだ何も…生きているのかさえ分かりません…」
ユリウス「君のくれたロケット・・・これだ…このフリッツの写真を見ながら勇気づけられたよ。ありがとう。ドーフさんのことも心配だ、返しきれない恩を感じている。結婚した君が幸せそうだとわかって僕はあきらめなくてはならない、これでよかったと何度も思ったよ」
ロッテ「心配で私…(泣く)」
ユリウス「ロッテ、幸い僕は語学に通じている。からだがよくなったら二人の消息を調べてあげるよ。スイス側でもドイツ側でも」
ロッテ「先生、ありがとう」
ユリウス「しかし、異国の地で君と再会するとは夢にも思わなかった。こんなけがはしてしまったけれど通訳に来てよかったと思ってる。僕は捕虜の通訳をしていたが、皆それぞれ家族を残して戦線に来ている切ない思いは変わらない殺し合いはむなしいものだ」
ロッテ「パパとママ、ハンスやヴィクトールはスイスに来ているのよ。戦争に負けたら大変なことになるって」
ユリウス「それは間違いない貴族や皇室は特権をはく奪され財産を奪われるだろう。ウィーンがドイツ主義の危険な思想に飲み込まれるかもしれない」
ロッテ「もう帰れないのね」
ユリウス「そうなるかもしれない。そうだとしても僕はフリッツがドイツにいるのだとしてもさがしだしてみせる」
ロッテ「先生…私先生の絶望した気持ちが本当によくわかりました。夫と我が子大切な家族と引き離されて消息も知れない…ヘルマンは私とフリッツを受け入れてくれました。日々が笑顔で幸せでした。ヘルマンは戦争が激しくなるにつれて多忙な仕事の中休む間もほとんどなくてもいつも優しい笑顔で、私たちを守ってくれたの…そのヘルマンが突然いなくなってしまった…たまらない気持ちよ」
ユリウス「でも、君の父上母上は君だけでも消息が知れればきっとほっとすると思うよ。ゲラール家の方々の落ち着き先は近々わかるだろう。」
ロッテ「先生、私、もう一度笑える自信がないの二人が見つからない限り」
ユリウス「僕も一度絶望した。死んでもいいと思ったけれど生かされている。二人はきっと見つかるよ」
ロッテ「先生」
ユリウス「ベルタが僕のせいで殺されたとき、僕は二度と笑ってはいけない気持ちだった。ベルタは家族を皆流感で亡くしていた。運のない子だった。それだけに幸せにしてやりたかった。ベルタは君と別れて以来誰も愛せないと思っていた僕に微笑みを取り戻してくれたのに僕のせいであんなしにかたをしてしまった。ベルタにすまなくてならなかったんだ。」
ロッテ「まさに私はそんな気持ちです」
ユリウス「二人は見つかると信じてしっかりするんだ」
けが人が運ばれてくる。
呻いている傷病兵が兵士たちによって担架で運ばれてくる
ユリウス「エルンスト、エルンストじゃないか」
看護婦「今から腕を切ります。壊疽が起こっているんです。手足を抑えるのを手伝ってください」
ロッテ「私が行きます」
エルンスト「腕を切らないでくれ…」
運ばれていくエルンスト
暗転
ユリウス「本当にありがとう、君のおかげでだいぶ良くなったよ」
ロッテ「先生が良くなってくださって嬉しいわ」
ユリウス「でもご主人とフリッツのことは心配だろう」
ロッテ「いまだ何も…生きているのかさえ分かりません…」
ユリウス「君のくれたロケット・・・これだ…このフリッツの写真を見ながら勇気づけられたよ。ありがとう。ドーフさんのことも心配だ、返しきれない恩を感じている。結婚した君が幸せそうだとわかって僕はあきらめなくてはならない、これでよかったと何度も思ったよ」
ロッテ「心配で私…(泣く)」
ユリウス「ロッテ、幸い僕は語学に通じている。からだがよくなったら二人の消息を調べてあげるよ。スイス側でもドイツ側でも」
ロッテ「先生、ありがとう」
ユリウス「しかし、異国の地で君と再会するとは夢にも思わなかった。こんなけがはしてしまったけれど通訳に来てよかったと思ってる。僕は捕虜の通訳をしていたが、皆それぞれ家族を残して戦線に来ている切ない思いは変わらない殺し合いはむなしいものだ」
ロッテ「パパとママ、ハンスやヴィクトールはスイスに来ているのよ。戦争に負けたら大変なことになるって」
ユリウス「それは間違いない貴族や皇室は特権をはく奪され財産を奪われるだろう。ウィーンがドイツ主義の危険な思想に飲み込まれるかもしれない」
ロッテ「もう帰れないのね」
ユリウス「そうなるかもしれない。そうだとしても僕はフリッツがドイツにいるのだとしてもさがしだしてみせる」
ロッテ「先生…私先生の絶望した気持ちが本当によくわかりました。夫と我が子大切な家族と引き離されて消息も知れない…ヘルマンは私とフリッツを受け入れてくれました。日々が笑顔で幸せでした。ヘルマンは戦争が激しくなるにつれて多忙な仕事の中休む間もほとんどなくてもいつも優しい笑顔で、私たちを守ってくれたの…そのヘルマンが突然いなくなってしまった…たまらない気持ちよ」
ユリウス「でも、君の父上母上は君だけでも消息が知れればきっとほっとすると思うよ。ゲラール家の方々の落ち着き先は近々わかるだろう。」
ロッテ「先生、私、もう一度笑える自信がないの二人が見つからない限り」
ユリウス「僕も一度絶望した。死んでもいいと思ったけれど生かされている。二人はきっと見つかるよ」
ロッテ「先生」
ユリウス「ベルタが僕のせいで殺されたとき、僕は二度と笑ってはいけない気持ちだった。ベルタは家族を皆流感で亡くしていた。運のない子だった。それだけに幸せにしてやりたかった。ベルタは君と別れて以来誰も愛せないと思っていた僕に微笑みを取り戻してくれたのに僕のせいであんなしにかたをしてしまった。ベルタにすまなくてならなかったんだ。」
ロッテ「まさに私はそんな気持ちです」
ユリウス「二人は見つかると信じてしっかりするんだ」
けが人が運ばれてくる。
呻いている傷病兵が兵士たちによって担架で運ばれてくる
ユリウス「エルンスト、エルンストじゃないか」
看護婦「今から腕を切ります。壊疽が起こっているんです。手足を抑えるのを手伝ってください」
ロッテ「私が行きます」
エルンスト「腕を切らないでくれ…」
運ばれていくエルンスト
暗転
第四場 エルンストの病室
腕がないまま寝かされているエルンスト
エルンストの汗を拭いているロッテ
ユリウス「いい匂いのする水を探すコガネムシになりたい…今日はここまでだ」
エルンスト「俺みたいな人間が文豪の読み聞かせを楽しみになるなんて思わなかったよ。ユリウスありがとう。」
ユリウス「いいんだ。ベッドの上は退屈だろう。きみみたいなやつにとっては」
エルンスト「悪たれが過ぎて親父に志願兵の中に入れられてしまった。おふくろは泣き喚いたけれど。親父は本気で怒っていた。軍人のようにはいかないですぐこのザマだ。」
ロッテ「熱が下がるといいわね」
エルンスト「ドーフ夫人あなたはナイチンゲールのような人だ。あなたのやさしさに感謝します。看護婦さんが傷口をアルコールで拭くのが痛くてたまらない」
ロッテ「傷の状態がふさがってきたらそれも終わるわ、それまで頑張りましょう」
ユリウス「お母上には手紙を書いてしらせたよ。もう休んだほうがいい疲れてしまう」
エルンスト「ああ…(意識を失う)」
ロッテ「ギースさんどうなさったの!」
ユリウス看護婦を呼びにいく。看護婦がやってくる
看護婦「この患者さんは運ばれてきたときから壊疽がひどすぎて毒素が体を回ったら危険な状態でしたから」
医師がやってくる
医師「もう半時も持たないでしょう」
ロッテ「そんな…ギースさん頑張って、お母様は帰りを待っているわ」
ユリウス「エルンスト、聞こえるか」
エルンスト「(うっすら目を開ける)ユリウス…お袋に…」
ユリウス「もう知らせたよ、だからしっかりするんだ」
エルンスト「俺が死んだらそれも知らせてくれ…」
ユリウス、エルンストの手を握る
エルンスト「文豪の本と酒を棺桶に入れてくれよ…」
ユリウス「エルンスト、エルンスト!」
エルンスト息絶える
ロッテはエルンストの涙をぬぐってやる
エルンストの汗を拭いているロッテ
ユリウス「いい匂いのする水を探すコガネムシになりたい…今日はここまでだ」
エルンスト「俺みたいな人間が文豪の読み聞かせを楽しみになるなんて思わなかったよ。ユリウスありがとう。」
ユリウス「いいんだ。ベッドの上は退屈だろう。きみみたいなやつにとっては」
エルンスト「悪たれが過ぎて親父に志願兵の中に入れられてしまった。おふくろは泣き喚いたけれど。親父は本気で怒っていた。軍人のようにはいかないですぐこのザマだ。」
ロッテ「熱が下がるといいわね」
エルンスト「ドーフ夫人あなたはナイチンゲールのような人だ。あなたのやさしさに感謝します。看護婦さんが傷口をアルコールで拭くのが痛くてたまらない」
ロッテ「傷の状態がふさがってきたらそれも終わるわ、それまで頑張りましょう」
ユリウス「お母上には手紙を書いてしらせたよ。もう休んだほうがいい疲れてしまう」
エルンスト「ああ…(意識を失う)」
ロッテ「ギースさんどうなさったの!」
ユリウス看護婦を呼びにいく。看護婦がやってくる
看護婦「この患者さんは運ばれてきたときから壊疽がひどすぎて毒素が体を回ったら危険な状態でしたから」
医師がやってくる
医師「もう半時も持たないでしょう」
ロッテ「そんな…ギースさん頑張って、お母様は帰りを待っているわ」
ユリウス「エルンスト、聞こえるか」
エルンスト「(うっすら目を開ける)ユリウス…お袋に…」
ユリウス「もう知らせたよ、だからしっかりするんだ」
エルンスト「俺が死んだらそれも知らせてくれ…」
ユリウス、エルンストの手を握る
エルンスト「文豪の本と酒を棺桶に入れてくれよ…」
ユリウス「エルンスト、エルンスト!」
エルンスト息絶える
ロッテはエルンストの涙をぬぐってやる
第五場 墓地
ユリウス墓参りをしている。
ルードヴィッヒ「思い出すなあ」
ユリウス「わざわざここまで来てくれた。持つべきものは友だ」
ルードヴィッヒ「当然だろう」
ユリウス「戦争も終わり、あの頃とは世の中は変わってしまった」
ルードヴィッヒ「お前も弟さんの分も幸せにならなければ」
ユリウス「どういう意味だ」
ルードヴィッヒ「何を遠慮しているんだ」
ユリウス「遠慮なんかしていない。」
ルードヴィッヒ「ジュリー、悲しみに逃げる方が現実と向き合うより楽だと思うが、お前が生かされている意味を考えてみろ」
ユリウス「ルーイ」
ルードヴィッヒ「まだ恩を返していない人がいるだろう。その人たちが幸せになるよう努めてはどうなんだ」
ユリウス「たぶん、お前にはわからないよ、恩人を裏切るようなことになっている。」
ルードヴィッヒ「もっと図々しく、恩人を助けてやれと言っているんだ。」
ユリウス「ゲラ―ルさんを助けていくつもりだ。」
ルードヴィッヒ「ヘルマンさんのためにもロッテさんを幸せにしてやれよ」
ユリウス「そんな図々しいことはできないよ」
ルードヴィッヒ「どうして。今でも愛しているんだろ」
ユリウス「彼女はヘルマンさんを待っている。その気持ちを大切にしてやりたいんだ」
ルードヴィッヒ「ヘルマンさんはロッテさんが待つことを望んでいないと僕は思う」
ユリウス「ルーイ」
ルードヴィッヒ「そういう人だろう。お前は自分が先に死んだら女房に未練が残って化けて出るだろうけれど、お前のベルタもヘルマン・フォン・ドーフも最愛の人が泣きくれているより新しい幸せをつかむことを望むひとだろ」
ユリウス「それは…ずいぶんな言い方だな」
ルードヴィッヒ「お前の性格はよーくわかっている。それに、あのままではロッテさんは病気になってしまうぞ」
ユリウス「わかってる。このままではよくないことは、でも、彼女を尊重してやりたいんだ。ベルタを失ったとき僕は絶望した。だから絶望の淵にいる気持ちがわかるんだ。」
ルードヴィッヒ「ゲラールさんに恩を返したいなら望むようにしてやったほうがいい。」
ユリウス「ロッテはヘルマンさんを待つと言っている。それに万が一ということだってあるじゃないか」
ルードヴィッヒ「思い出すなあ」
ユリウス「わざわざここまで来てくれた。持つべきものは友だ」
ルードヴィッヒ「当然だろう」
ユリウス「戦争も終わり、あの頃とは世の中は変わってしまった」
ルードヴィッヒ「お前も弟さんの分も幸せにならなければ」
ユリウス「どういう意味だ」
ルードヴィッヒ「何を遠慮しているんだ」
ユリウス「遠慮なんかしていない。」
ルードヴィッヒ「ジュリー、悲しみに逃げる方が現実と向き合うより楽だと思うが、お前が生かされている意味を考えてみろ」
ユリウス「ルーイ」
ルードヴィッヒ「まだ恩を返していない人がいるだろう。その人たちが幸せになるよう努めてはどうなんだ」
ユリウス「たぶん、お前にはわからないよ、恩人を裏切るようなことになっている。」
ルードヴィッヒ「もっと図々しく、恩人を助けてやれと言っているんだ。」
ユリウス「ゲラ―ルさんを助けていくつもりだ。」
ルードヴィッヒ「ヘルマンさんのためにもロッテさんを幸せにしてやれよ」
ユリウス「そんな図々しいことはできないよ」
ルードヴィッヒ「どうして。今でも愛しているんだろ」
ユリウス「彼女はヘルマンさんを待っている。その気持ちを大切にしてやりたいんだ」
ルードヴィッヒ「ヘルマンさんはロッテさんが待つことを望んでいないと僕は思う」
ユリウス「ルーイ」
ルードヴィッヒ「そういう人だろう。お前は自分が先に死んだら女房に未練が残って化けて出るだろうけれど、お前のベルタもヘルマン・フォン・ドーフも最愛の人が泣きくれているより新しい幸せをつかむことを望むひとだろ」
ユリウス「それは…ずいぶんな言い方だな」
ルードヴィッヒ「お前の性格はよーくわかっている。それに、あのままではロッテさんは病気になってしまうぞ」
ユリウス「わかってる。このままではよくないことは、でも、彼女を尊重してやりたいんだ。ベルタを失ったとき僕は絶望した。だから絶望の淵にいる気持ちがわかるんだ。」
ルードヴィッヒ「ゲラールさんに恩を返したいなら望むようにしてやったほうがいい。」
ユリウス「ロッテはヘルマンさんを待つと言っている。それに万が一ということだってあるじゃないか」
第六場 ロッテの夢の中
10年前
ヘルマン「起きていたのか、大事な体なんだから早く休みなさい」
ロッテ「私、あなたに大切なお話があるのよ」
ヘルマン「寝室に行こう、ここでは冷える、体に障るよ」
ロッテ「私、家に帰りたいの」
ヘルマン「体の調子でも悪いの?」
ロッテ「ううん、違うわ」
ヘルマン「でも、顔色が悪い」
ロッテ「ヘルマン、離婚してほしいの」
ヘルマン「そんなことできるわけない、もうすぐ子供も生まれるんだ」
ロッテ「だからよ、この子はあなたの子じゃないわ」
ヘルマン「ロッテ、何を言い出すんだ」
ロッテ「決してあなたをだますつもりじゃなかったの、私子供でよくわからなかったの、許してほしい、家に帰して」
ヘルマン「ロッテ、落ち着いて」
ロッテ「私、恋人がいたのよ、その人は私に一緒になろうと、父にすべて話すと言ったけれど、私が無理やり別れることにしてあなたと結婚したのよ。悪いのは皆私なの」
ヘルマン「ロッテ、君の言うことが本当だとしよう」
ロッテ「本当よ」
ヘルマン「本当だとしても離婚はできない」
ロッテ「あなたを裏切るようなことになったわ、お腹の子はあなたの子じゃないのにどうしてここに居られるの」
ヘルマン「ロッテ、では、君はその恋人とどうして別れたんだ」
ロッテ「貧しい人だったから私の両親は許してくれそうにもなかったのよ、彼を駆け落ち者にして苦労させたくなかったの。彼は絶対に別れたくないと言ったけれど…」
ヘルマン「ロッテ、僕も同じ理由で君と別れたくない。」
ロッテ「同じ理由?」
ヘルマン「君が実家に帰ったとする。離婚して君が子供を産む。僕は何といわれると思う妻の妊娠中に女でも作って若妻が逃げ帰ったとか言われるだろう」
ロッテ「私がそうじゃないと知らせるわ」
ヘルマン「君が知らせることができるのは大した人数じゃない。それとも新聞に広告でも出すつもりかい」
ロッテ「それは…」
ヘルマン「ゲラール家は私生児を生んで離婚されたふしだらな娘がいるといわれるし、僕は小娘に騙されたと笑いものだ」
ロッテ「そんな…」
ヘルマン「だから僕も君と同じ理由、世間の目や評判で苦労したくないんだ。互いの家名に傷もつけたくない」
ロッテ「私、そんな…辛くて耐えられないわ」
ヘルマン「僕にすまないと思うなら耐えてもらわなくてはならないな」
ロッテ「…わかったわ」
ヘルマン「わかったかい、生まれた子は僕の子だ、もうこの話は二度としちゃいけない。君の両親にも。黙っているんだ。いいね」
暗転
ロッテはベッドに泣き伏している。ヘルマン、子供を抱いている
ロッテ「あなた、やっぱり別れてください」
ヘルマン「何を言うんだ」
ロッテ「その子の顔が、あんまりにもあの人に似ていて私耐えられない」
ヘルマン「君の両親も僕の母も気づかない、大丈夫さ」
ロッテ「あなたは平気なの?」
ヘルマン「だってとても可愛いじゃないか、君に似ているよ」
ロッテ「ヘルマン…」
ヘルマン「僕たちで大切に育てよう。ロッテ。」
ロッテ「ヘルマン…」
ヘルマン「それが一番いい」
夢が終わり、ロッテはねおきる
ロッテ「あなた!フリッツ!…夢なの…ああ」
暗転
ヘルマン「起きていたのか、大事な体なんだから早く休みなさい」
ロッテ「私、あなたに大切なお話があるのよ」
ヘルマン「寝室に行こう、ここでは冷える、体に障るよ」
ロッテ「私、家に帰りたいの」
ヘルマン「体の調子でも悪いの?」
ロッテ「ううん、違うわ」
ヘルマン「でも、顔色が悪い」
ロッテ「ヘルマン、離婚してほしいの」
ヘルマン「そんなことできるわけない、もうすぐ子供も生まれるんだ」
ロッテ「だからよ、この子はあなたの子じゃないわ」
ヘルマン「ロッテ、何を言い出すんだ」
ロッテ「決してあなたをだますつもりじゃなかったの、私子供でよくわからなかったの、許してほしい、家に帰して」
ヘルマン「ロッテ、落ち着いて」
ロッテ「私、恋人がいたのよ、その人は私に一緒になろうと、父にすべて話すと言ったけれど、私が無理やり別れることにしてあなたと結婚したのよ。悪いのは皆私なの」
ヘルマン「ロッテ、君の言うことが本当だとしよう」
ロッテ「本当よ」
ヘルマン「本当だとしても離婚はできない」
ロッテ「あなたを裏切るようなことになったわ、お腹の子はあなたの子じゃないのにどうしてここに居られるの」
ヘルマン「ロッテ、では、君はその恋人とどうして別れたんだ」
ロッテ「貧しい人だったから私の両親は許してくれそうにもなかったのよ、彼を駆け落ち者にして苦労させたくなかったの。彼は絶対に別れたくないと言ったけれど…」
ヘルマン「ロッテ、僕も同じ理由で君と別れたくない。」
ロッテ「同じ理由?」
ヘルマン「君が実家に帰ったとする。離婚して君が子供を産む。僕は何といわれると思う妻の妊娠中に女でも作って若妻が逃げ帰ったとか言われるだろう」
ロッテ「私がそうじゃないと知らせるわ」
ヘルマン「君が知らせることができるのは大した人数じゃない。それとも新聞に広告でも出すつもりかい」
ロッテ「それは…」
ヘルマン「ゲラール家は私生児を生んで離婚されたふしだらな娘がいるといわれるし、僕は小娘に騙されたと笑いものだ」
ロッテ「そんな…」
ヘルマン「だから僕も君と同じ理由、世間の目や評判で苦労したくないんだ。互いの家名に傷もつけたくない」
ロッテ「私、そんな…辛くて耐えられないわ」
ヘルマン「僕にすまないと思うなら耐えてもらわなくてはならないな」
ロッテ「…わかったわ」
ヘルマン「わかったかい、生まれた子は僕の子だ、もうこの話は二度としちゃいけない。君の両親にも。黙っているんだ。いいね」
暗転
ロッテはベッドに泣き伏している。ヘルマン、子供を抱いている
ロッテ「あなた、やっぱり別れてください」
ヘルマン「何を言うんだ」
ロッテ「その子の顔が、あんまりにもあの人に似ていて私耐えられない」
ヘルマン「君の両親も僕の母も気づかない、大丈夫さ」
ロッテ「あなたは平気なの?」
ヘルマン「だってとても可愛いじゃないか、君に似ているよ」
ロッテ「ヘルマン…」
ヘルマン「僕たちで大切に育てよう。ロッテ。」
ロッテ「ヘルマン…」
ヘルマン「それが一番いい」
夢が終わり、ロッテはねおきる
ロッテ「あなた!フリッツ!…夢なの…ああ」
暗転
第7場 スイスのゲラール邸
ヨゼフ「だいぶ良くなったようだな」
ユリウス「この度も本当にお世話になりました。」
ヨゼフ「大事にしたほうがいい」
ユリウス、腕をつっている。
ハンス「先生」
ヴィクトール「先生」
ユリウス「久しぶりです。大人っぽくなって、びっくりしました」
ハンス「年末のお休みが終わったら二人とも寄宿舎に帰らなくちゃにらないんです」
ヴィクトール「でも学校は楽しいよ」
ハンス「全部フランス語だから先生のおかげで困らずにいます。ありがとうございます。」
ユリウス「それはよかった」
ヨゼフ「君が手伝ってくれたおかげで顧客の財産を守ることができた」
ユリウス「当り前のことをしただけです」
ヨゼフ「最近は飲んだりしてないようだな」
ユリウス「旦那様が通訳の仕事を紹介してくださったことで立ち直れました。それに、入院中はロッテお嬢様に献身的に看病していただきけがもよくなりました。感謝しております」
ヨゼフ「ロッテは当たり前のことをしただけだよ」
ユリウス「お嬢様はフリッツ坊ちゃまのお墓が見つかった件でかなりまいっています。そっとしてあげてください」
ヨゼフ「ロッテは君にそばにいてほしいと言っていただろう。」
ユリウス「それはドーフさんと御子息とはぐれた時のいきさつを一番近くで知っているのは私だからです。」
ヨゼフ「時代は変わった。家内も私も君とロッテが一緒になればいいと思っている」
ユリウス「とんでもない。お嬢様に間違ってもそんなことは仰らないでください。最愛の御子息をなくして傷ついているのですから。」
ヨゼフ「しかし君にそばにいてほしいというくらいだから…」
ロッテが出てくる
ロッテ「(ヒステリックに)冗談でもそんなこと言わないで、ヘルマンは見つかってないわ、先生は分かってくれたわ、なのにパパもママも無神経よ、パパは仕事に必要な先生がオーストリアに帰ったら困ると思っているんじゃないの。だから私に結婚しろって。わかってくれる人にそばにいてもらっちゃいけないの、甘えたらいけないの」
ユリウス「私はあなたのお父様にご恩がある。かってに帰国したりしないし、仕事も手伝う。あなたと結婚しなくてもそれは変わらない」
ヨゼフ「しかしもう二年も経っている。あれだけ家族思いの男が生きていれば連絡してこないはずはない。現実的に諦めたらどうだ」
ロッテ「(涙ぐんで)そんなこと私が一番わかってる。親なのにひどいわ」
ロッテ、ユリウスのもとに行く
ユリウス「お父上は、あなたのためを思って言っただけですよ(ロッテを抱いてなだめる)」
ユリウスはロッテをなだめつつ入る
リーズがお茶を運びつつ出てくる
リーズ「まあ、お茶が冷めてしまうわね」
ヨゼフ「あんな様子を見たら一緒になればいいと思うんだが」
リーズ「私もそう思います」
ヨゼフ「ロッテは最近不安定なようだな」
リーズ「可愛いフリッツがお墓の中とわかったんですもの。仕方ないわ。シュタイフ先生は兄のようにロッテをよくなだめてくださるから。でもあなたロッテはそれどころじゃないのよ、」
ユリウス「この度も本当にお世話になりました。」
ヨゼフ「大事にしたほうがいい」
ユリウス、腕をつっている。
ハンス「先生」
ヴィクトール「先生」
ユリウス「久しぶりです。大人っぽくなって、びっくりしました」
ハンス「年末のお休みが終わったら二人とも寄宿舎に帰らなくちゃにらないんです」
ヴィクトール「でも学校は楽しいよ」
ハンス「全部フランス語だから先生のおかげで困らずにいます。ありがとうございます。」
ユリウス「それはよかった」
ヨゼフ「君が手伝ってくれたおかげで顧客の財産を守ることができた」
ユリウス「当り前のことをしただけです」
ヨゼフ「最近は飲んだりしてないようだな」
ユリウス「旦那様が通訳の仕事を紹介してくださったことで立ち直れました。それに、入院中はロッテお嬢様に献身的に看病していただきけがもよくなりました。感謝しております」
ヨゼフ「ロッテは当たり前のことをしただけだよ」
ユリウス「お嬢様はフリッツ坊ちゃまのお墓が見つかった件でかなりまいっています。そっとしてあげてください」
ヨゼフ「ロッテは君にそばにいてほしいと言っていただろう。」
ユリウス「それはドーフさんと御子息とはぐれた時のいきさつを一番近くで知っているのは私だからです。」
ヨゼフ「時代は変わった。家内も私も君とロッテが一緒になればいいと思っている」
ユリウス「とんでもない。お嬢様に間違ってもそんなことは仰らないでください。最愛の御子息をなくして傷ついているのですから。」
ヨゼフ「しかし君にそばにいてほしいというくらいだから…」
ロッテが出てくる
ロッテ「(ヒステリックに)冗談でもそんなこと言わないで、ヘルマンは見つかってないわ、先生は分かってくれたわ、なのにパパもママも無神経よ、パパは仕事に必要な先生がオーストリアに帰ったら困ると思っているんじゃないの。だから私に結婚しろって。わかってくれる人にそばにいてもらっちゃいけないの、甘えたらいけないの」
ユリウス「私はあなたのお父様にご恩がある。かってに帰国したりしないし、仕事も手伝う。あなたと結婚しなくてもそれは変わらない」
ヨゼフ「しかしもう二年も経っている。あれだけ家族思いの男が生きていれば連絡してこないはずはない。現実的に諦めたらどうだ」
ロッテ「(涙ぐんで)そんなこと私が一番わかってる。親なのにひどいわ」
ロッテ、ユリウスのもとに行く
ユリウス「お父上は、あなたのためを思って言っただけですよ(ロッテを抱いてなだめる)」
ユリウスはロッテをなだめつつ入る
リーズがお茶を運びつつ出てくる
リーズ「まあ、お茶が冷めてしまうわね」
ヨゼフ「あんな様子を見たら一緒になればいいと思うんだが」
リーズ「私もそう思います」
ヨゼフ「ロッテは最近不安定なようだな」
リーズ「可愛いフリッツがお墓の中とわかったんですもの。仕方ないわ。シュタイフ先生は兄のようにロッテをよくなだめてくださるから。でもあなたロッテはそれどころじゃないのよ、」
第8場 スイスのゲラール邸のテラス
ひどく泣いているロッテとロッテの肩を抱いているユリウス
ロッテ「パパはひどいわ。私はもう子供じゃないしこんなに苦しんでいるのに」
ユリウス「旦那様は心配しているんですよ」
ロッテ「ヘルマンがもうこの世にいないだろうって覚悟はできているわ。でもそれを受け入れたくないのよ」
ユリウス「わかるよ、何度もいろいろ考えてしまうんだよね」
ロッテ「受け入れるのが苦しいの。ヘルマンに申し訳なくて、もしかしたら生きているんじゃないかって思いたいの」
ユリウス「無理することはない、望みを捨てないでいるのは自由だ。」
ロッテ「あなたにあまえるのはいけないことなの?」
ユリウス「僕は構わない。でも外聞はあまりよくない。僕も酒に逃げた。それも外聞が良くない。外聞なんかどうでもいいほどつらい人間に正論を解いても意味はない。君は死ぬつもりだった僕に絶対に秘密にしていたフリッツのことをうちあけて生きろと言った。僕はあの時運命というものが存在すると生まれて初めて感じた。努力でも、財力でもかなわない運命というものを」
ロッテ「先生」
ユリウス「フリッツが墓の中と分かった時、僕は泣いた。生きて会いたかった。たとえ一生父と名のることはできなくても」
ロッテ「先生」
ユリウス「ジュリーでいいよ。もうそろそろ先生はよそう。」
ロッテ「…ジュリー」
ユリウス「でもね、僕なんかより君のほうが何倍もつらいはずだと思って泣くのをやめたんだ」
ロッテ「フリッツのことで悲しみを分かち合えるのは今はあなただけよ」
ユリウス「悲しみを分かち合えるならば
僕の腕の中でいくらでも泣いてもいい」
ロッテ「あなたの胸は暖かいわ
その心地よさについ甘えてしまう」
ユリウス「君の心の奥の悲しみが癒されるなら
なんだってする」
ロッテ「二人は帰ってこないわ
この悲しみが癒されることはない」
ロッテ「パパはひどいわ。私はもう子供じゃないしこんなに苦しんでいるのに」
ユリウス「旦那様は心配しているんですよ」
ロッテ「ヘルマンがもうこの世にいないだろうって覚悟はできているわ。でもそれを受け入れたくないのよ」
ユリウス「わかるよ、何度もいろいろ考えてしまうんだよね」
ロッテ「受け入れるのが苦しいの。ヘルマンに申し訳なくて、もしかしたら生きているんじゃないかって思いたいの」
ユリウス「無理することはない、望みを捨てないでいるのは自由だ。」
ロッテ「あなたにあまえるのはいけないことなの?」
ユリウス「僕は構わない。でも外聞はあまりよくない。僕も酒に逃げた。それも外聞が良くない。外聞なんかどうでもいいほどつらい人間に正論を解いても意味はない。君は死ぬつもりだった僕に絶対に秘密にしていたフリッツのことをうちあけて生きろと言った。僕はあの時運命というものが存在すると生まれて初めて感じた。努力でも、財力でもかなわない運命というものを」
ロッテ「先生」
ユリウス「フリッツが墓の中と分かった時、僕は泣いた。生きて会いたかった。たとえ一生父と名のることはできなくても」
ロッテ「先生」
ユリウス「ジュリーでいいよ。もうそろそろ先生はよそう。」
ロッテ「…ジュリー」
ユリウス「でもね、僕なんかより君のほうが何倍もつらいはずだと思って泣くのをやめたんだ」
ロッテ「フリッツのことで悲しみを分かち合えるのは今はあなただけよ」
ユリウス「悲しみを分かち合えるならば
僕の腕の中でいくらでも泣いてもいい」
ロッテ「あなたの胸は暖かいわ
その心地よさについ甘えてしまう」
ユリウス「君の心の奥の悲しみが癒されるなら
なんだってする」
ロッテ「二人は帰ってこないわ
この悲しみが癒されることはない」
第9場 夢
ロッテが上手ベッドで休んでいる
下手ユリウスがベッドで休んでいる
ヘルマンとフリッツが浮かぶ
ロッテ「あなた!フリッツ!生きていたのね」
ヘルマン「ロッテ、どんな時も君の元に帰ってくると誓ったのに許してくれ」
ロッテ「あなた、戻ってくださらないの戻ってきて、お願いよ」
ヘルマン「すまない」
ロッテ「いやよ、あなた、フリッツと私のところに戻ってきて」
ヘルマン「ロッテ、私とフリッツのことを思いながら悲しみに生きるつもりなのか」
ロッテ「それ以外に何があるというの」
ヘルマン『悲しみに生きるのは美しい
それは詩の世界だ
現実は生身には厳しい
美しくはないかもしれない
私は君を愛した
私は君に現実に生きてほしい
美しく生きるより
精一杯生きる方が難しい
私は君を愛した
精一杯生きてほしい』
ロッテ『私はあなたを忘れて生きるなんてできない』
ヘルマン『君が私とフリッツを
何よりも大切に思っているのは分かっている
君には美しく生きるより
強く生きてほしいんだ』
ロッテ『そんなの苦しすぎるわ』
ヘルマン『君ならできると信じている』
ヘルマンとフリッツ消える
ベルタが浮かぶ
ベルタ『あなた私のことなど忘れてもいいのよ
私はあなたのおかげでとても幸せだった
貧しさに追われて
立ち止まることさえ知らなかった私
どうかあなたには幸せになってほしい』
ユリウスはね起きる。
ユリウス「ベルタ」
ベルタ『悲しみに生きるのは美しい
それは詩の世界ね
現実は生身には厳しい
美しくはないかもしれない
私はあなたを愛した
私はあなたに現実に生きてほしい
美しく生きるより
精一杯生きる方が難しい』
ユリウス「ベルタ…」
暗転
下手ユリウスがベッドで休んでいる
ヘルマンとフリッツが浮かぶ
ロッテ「あなた!フリッツ!生きていたのね」
ヘルマン「ロッテ、どんな時も君の元に帰ってくると誓ったのに許してくれ」
ロッテ「あなた、戻ってくださらないの戻ってきて、お願いよ」
ヘルマン「すまない」
ロッテ「いやよ、あなた、フリッツと私のところに戻ってきて」
ヘルマン「ロッテ、私とフリッツのことを思いながら悲しみに生きるつもりなのか」
ロッテ「それ以外に何があるというの」
ヘルマン『悲しみに生きるのは美しい
それは詩の世界だ
現実は生身には厳しい
美しくはないかもしれない
私は君を愛した
私は君に現実に生きてほしい
美しく生きるより
精一杯生きる方が難しい
私は君を愛した
精一杯生きてほしい』
ロッテ『私はあなたを忘れて生きるなんてできない』
ヘルマン『君が私とフリッツを
何よりも大切に思っているのは分かっている
君には美しく生きるより
強く生きてほしいんだ』
ロッテ『そんなの苦しすぎるわ』
ヘルマン『君ならできると信じている』
ヘルマンとフリッツ消える
ベルタが浮かぶ
ベルタ『あなた私のことなど忘れてもいいのよ
私はあなたのおかげでとても幸せだった
貧しさに追われて
立ち止まることさえ知らなかった私
どうかあなたには幸せになってほしい』
ユリウスはね起きる。
ユリウス「ベルタ」
ベルタ『悲しみに生きるのは美しい
それは詩の世界ね
現実は生身には厳しい
美しくはないかもしれない
私はあなたを愛した
私はあなたに現実に生きてほしい
美しく生きるより
精一杯生きる方が難しい』
ユリウス「ベルタ…」
暗転
第10場 ゲラール邸のテラス
ユリウス「ヘルマンのことは希望を持ち続けてもいいじゃないか、元気を出して」
ロッテ「ありがとう」
ユリウス「ロッテ、僕もフリッツやベルタ、ウィリーの墓を守って生きていくのが一番簡単な生き方だろうと思う。人はつつましくお墓の中の人を思いつつ生きる僕を立派だというだろう。ちっとも立派じゃない楽な方に流れているだけさ。僕は自分の生き方に向き合うのは苦しかった。でも僕はさまざまの恩で生かされている。君の父上もそうだし親友のルードヴィッヒもそうだ。そして君にも。その恩義を返さずに自分の悲しみだけに生きてはいられない」
ロッテ「ジュリー」
ユリウス「だから僕は君の父上の仕事を誠意を込めて手伝っていくよ。人のために働くことは心を癒してくれるのは本当だ君もご両親にやさしくしてあげるといい。君のことをとても心配している」
ロッテ「そうね、わかったわ」
ユリウス「ヘルマンのことは希望を持ち続けてもいいじゃないか、元気を出して」
ロッテ「ありがとう」
ユリウス「ロッテ、僕もフリッツやベルタ、ウィリーの墓を守って生きていくのが一番簡単な生き方だろうと思う。人はつつましくお墓の中の人を思いつつ生きる僕を立派だというだろう。ちっとも立派じゃない楽な方に流れているだけさ。僕は自分の生き方に向き合うのは苦しかった。でも僕はさまざまの恩で生かされている。君の父上もそうだし親友のルードヴィッヒもそうだ。そして君にも。その恩義を返さずに自分の悲しみだけに生きてはいられない」
ロッテ「ジュリー」
ユリウス「だから僕は君の父上の仕事を誠意を込めて手伝っていくよ。人のために働くことは心を癒してくれるのは本当だ君もご両親にやさしくしてあげるといい。君のことをとても心配している」
ロッテ「そうね、わかったわ」
第11場 40年後の病院
病床のロッテ
アントニア「ママ、聞こえてる?」
看護婦「奥様はお休みになられたようです。」
医師がやってきてロッテを診る
医師「かなり弱ってはいますが、現状安定しています」
看護婦「ご家族の皆様今日はもう遅いのでお帰りください。」
皆帰ろうとする。
ユリウスがやってくる。白髪交じりで年老いている
ユリウス「ロッテ、約束のものを見つけたよ」
ロッテ「ヘルマン…来てくれたのね」
子供たち困惑した複雑な顔
ヨゼフ「やっぱりわからないんだな」
ロッテ「ヘルマン、ずっと待っていたわ」
ユリウスロッテを抱きしめる
ユリウス「すまないが二人にしてくれないか」
フリッツ「皆出よう」
皆出ていく
ユリウス「待たせたね、ロッテ」
ロッテ「うんと待っていたのよ」
ユリウス「体の調子はどうなんだい」
ロッテ「あなたが帰ってきてくれたから元気が出たわ」
ユリウス「それはよかった」
ロッテ「とても長く感じたわ」
ユリウス「待たせてすまなかったよ」
ロッテ、目を開けてユリウスの顔を見る
ロッテ「あなた、どちらにいらしていたの」
ユリウス「ウィーンだよ」
ロッテ「(抱きついて)ジュリー…愛しているわ」
ユリウス「僕も愛しているよ、ロッテ」
ロッテ「再会した時はお互い苦しかったけれど、あなたを愛してよかった」
ユリウス「君を幸せにしなくてはいけないと誓ったんだから」
ロッテ「子供たちもみんないい子で」
ユリウス「ロッテ、ヘルマンが見つかったよ。」
ロッテ「あなた…」
ユリウス「旅券の住所からウィーンの教会の墓地に埋葬されていたんだ。フリッツと同じところだったんだ。もっとしっかり調べればよかった」
ロッテ「ヘルマン、見つかってよかった安心したわ」
ユリウス「ロッテ、良くなってウィーンに帰ろう。」
二人が歌う間、子供たちや家族との映像が流れる
二人『これからの人生も
共に二人生きていこう』(字幕/長男フリッツ誕生。亡くなったフリッツの名前を付ける)
ユリウス『こんな僕で君にふさわしいのかな』
ロッテ『それを決めるのは私よ』(字幕/長女アントニア誕生)
二人『安らぎとやさしさ小さな毎日の幸せを積み重ね本物の幸せを築いてきた
優しい思いで包み込めばきっと幸せになれると信じて(字幕/次男ヨゼフ誕生)
時がつむぐものが
暖かい幸せになることを(字幕/長女アントニア結婚)
君は知っているだろう』
ロッテ『あなたはいつも真心で包んでくれた
暖かい幸せ』(字幕/孫リーズ誕生)
ユリウス『この幸せはかけがえのないもの』
二人『もう幸せとは無縁だと一時は考えていた』(字幕/ゲラール氏死去)
(子供や孫たちとの家族写真が映し出される)
ロッテ「愛しているわジュリー」
ユリウス「愛しているよロッテ」
ロッテ、息絶える。
ユリウス「トニー、先生を呼んでおくれ」
アントニア、医師を呼びにやる
医師ロッテの臨終を確認する
アントニア「ママはパパが見えていたの?」
ユリウス「わかっていたよ。最後の言葉はジュリーだった」
アントニア、医師を呼びにやる
医師ロッテの臨終を確認する
アントニア「ママはパパが見えていたの?」
ユリウス「わかっていたよ。最後の言葉はジュリーだった」
幕