がっこうのせんせいとはね

がっこうのせんせいにならないと

けっこん できないんだよ

だから わたしたち、

 

けっこんできない

 

 

 

保育園のころ

泣いて言っていたのを覚えています

 

 

男の子は

 

なんて言ったのか

覚えていません

 

 

3年後、私は親の都合で県外へ

 

そのあとも私は何度も引っ越して

あっちこっち転々として 生きてきた

 

先生になることを

本気で志すこともなく

 

そんなこともあったな と

たまに思い出すだけだった

 

 

 

大人になって

 

 

運転手を好きになり

自分もトラックに乗って

 

佐川急便の人が大好きになった

 

 

 

 

少し前に

人づてに聞いた

 

 

 

 

「あの人、先生だったんだって」

 

 

「あー そうなんだ」

 

 

 

 

そのときは

それしか 思わなかった

 

 

ある日、とつぜん 思い出した

 

 

 

幼い日の約束

 

先生になるって言ってた男の子

 

 

 

 

大きくなって  忘れてたけど

 

心は覚えてた

 

 

 

どこで 何をして

生きてきたのか

全然わからないけど

 

 

泣いた日から

いちども会うこともなかったのに

 

 

ふしぎだね

 

 

おんなじ道

歩いてた

 

 

 

数十年の時を越えて

 

あなたは

佐川急便の人になっていた

 

 

私は

佐川急便の人しか 好きになれなくなっていた

 

 

 

きた

 

 

佐川急便の人になって

 

きてくれた

 

 

 

何度も何度も 不在票が入ってた

いつも同じ名前

 

配達に来る人と

不在票の名前が同じ人だと

ずっと、わからなかった

 

すれ違っても

たまに来る人だな

 

それだけだった

 

 

でも いつからか

 

なんだか

気になって 気になって

しょうがなくなってた

 

 

とまらなくなってた

 

 

 

ずっと 、

気付かなくて

ごめんね

 

 

 

やっと 会えた

 

やっと たどり着いた

 

 

 

 

今思えば…

 

 

いまだに

なんて言ったのか わからないままの あなた

 

 

なんなんですか って言われて

泣くほどくやしくて 負け惜しみを言う 私

 

 

変わってないね

小さいころと

 

 

 

 

 

あのとき

 

私が泣かないで

 

 

せんせいになって

けっこんしようね

 

 

そう 言ってたら

 

今 どうなっていたのかな

 

 

 

 

 

でも いいんだ

 

会えたんだもん

 

 

 

 

佐川急便の人になってくれた あなた

ありがとう

 

 

大好きな佐川急便

いつもそばにいてくれる佐川急便の人たち

ありがとう

 

 

こんなに 佐川急便の人しか愛せない 自分

ありがとう

 

 

 

 

 

たぶん   

ずっと 探してた

 

ずっと あなたが好きだった

 

 

たぶん 

小さいころから

 

 

ずっと 。

 

 

 

 

 

佐川急便の、あの人

 

 

 

 

 

 

 

なんなんですか

 

なんて言ったのですか。