パスタ専門店ではなく、ご亭主がイタリアで修行して来た感じの街の小さなイタリア料理のお店で食事をしていたところ、杖をつかれたご年配のおばあちゃまが入店。

 

メニューをひと通り見たあと「……ええと……タラコとか……お醤油みたいなスパゲティはあるのかしら……?」と優しい細い声で尋ねると、一見武骨に見えるご亭主が「……ご、ごめんなさいっ!うちはあいにく取り扱いがなくて……。トマトとかお肉のスパゲッティならありますよ!」と丁重に対応されていて、激萌。

 

心の交流!日本においてタラコスパゲティが得てる市民権!いい!

 

(BGMはいつ来ても小野リサさんのベストアルバム)

 
……などと思いながら、ずっと引っかかっていることが。
 
先日出がけに急いでコンビニのATMでお金を下ろそうとしていたら、ATM前に立っていらした僕の母(70代)と同年齢くらいとお見受けするご婦人が「どうぞどうぞお先に」と仰るので、お言葉に甘えて僕もお金を先に下ろしたのですが、その直後にそのご婦人から「あのぅ、すみません、これってどうやって使うのかしら」と尋ねられました。
 
「あー、この『取引開始』というボタンを押した後に……はい、このクレジットカードを入れれば動きますよ」
 
とお伝えすると、「ああ、本当にありがとうございます。なにせ使うのはじめてなもので……」と仰る。
 
 
 
 
 
(……んん?
 
…………も、もしかして、オレオレ詐欺ってこと無い?
 
いや、でももう少しご年配でテレビをあまり観ない世代だったらあれだけど、見た目の感じは僕の母親くらいの感じで、世代的に絶対にオレオレ詐欺のことは知ってるだろうし、そう心配することって「年寄り扱いしないでよ」みたいな感じで逆に失礼にあたるのかな。電車でも席を譲られることを不快に思うご年配の方いるしな)
 
 
 
 
僕も待ち合わせに間に合わなそうだったので、そのままコンビニを後にしたのですが、タクシーに乗りながら
 
(いや、待て。その歳ではじめてってことは、それまで日常的に使うような機会は一度もなかったのに、今回はなぜ使うことになったんだろう…………)
 
果たしてどうだったんだろう……。こんなにずっと気になるなら
 
「あれれれれー?お母さん、知らないところに振り込みとかじゃないですよね?」(イメージとしてはオリエンタルラジオの藤森さんのネタみたいなチャラい口調)
 
みたいにすれば良かったのかな。いやー、待て、相手に話しかける温度感が分からなーい。誰か、その場合の心の交流の仕方を教えてくれー。

 

今となっては調べる手立てもありませんが、どうか世田谷自然食品とか再春館製薬とかへの振り込みでありますように……。ご無事でありますように……。