明治座千穐楽。「千秋楽」と「千穐楽」は意味的に全く同じようなのですが、「千秋楽」は文字の中に「火」が入っていて、大火の多かった江戸時代に縁起が悪い、ということで、縁起の良い「亀」を入れて「千穐楽」になった……って先ほど知ったことを、あたかも最初から知ってた風に書いてみたりして。

 
開演直前。僕の隣にいるバイオリンの青山さんはすでに涙目。開幕。最前列で既に泣いてらっしゃるお客さんも。でも、フライングで涙しても辻褄が合うくらい、オープニングの「夜明けのスキャット」は圧巻でした。
 
マルシアさんとのデュエット、Baby Booさんとの絡み、テレサテンさんのコーナーを経て、あっという間の60分のショー。最後に歌われた「愛の讃歌」は、あらゆる側面で、由紀さんの歌い手としての決意がこめられている、と僕は感じている一曲。アカペラで歌う由紀さんの声の上にピアノの音を重ねる瞬間に、少し大袈裟に聞こえるかも知れませんが、手塚治虫の「火の鳥」の未来編で最後主人公のマサトが火の鳥の中に飛び込むシーンを思い起こしてしまうのです。毎回大きな音楽のうねりの中に飛び込むような感覚。
 
最後は、僕が一番下のシの音をフォルテ・フォルティッシモ(一番強く)で弾いて舞台を〆ます。
 
……ああ、終わってしまった。

 
 
この1ヶ月で僕が改めて感じたのは、音楽のアンサンブルにいちばん必要なのは、その場にない感情や色彩にそれぞれが瞬時に気付き、それを皆で共有して、ひとつの大きな絵を描くこと。ひと月もの間、由紀さんと同じキャンバスに、バンドメンバー全員で色彩を重ねる機会を頂けたこと、本当に本当に幸せだと感じます。その全てを共有したバンドメンバー、あんたらは俺の家族だぜ!(お嫌じゃなければ……)

今回の公演には表舞台に立たれた方、裏方の皆さん、併せて180人近いスタッフの方が参加されていたそうです。最後由紀さんが舞台上でされた挨拶でそのことを知りました。前日の打ち上げの席での挨拶でも、参加した全員に向けられた温かい由紀さんの眼差しと配慮の言葉の数々に感極まりました。(見えませんでしたが、本番始まる前にも涙目だったバイオリンの青山さんは、由紀さんのお言葉にきっと号泣してたはず)

気付いておられるよー。ありとあらゆることにー。
 
そこにいることに、そこで頑張っていることに気付いて貰えることで、人はまた前に進める。頑張りたいと思える。由紀さんは、どこまでも気付いて、どこまでも人に勇気を生み続けてる。僕も由紀さんみたいに、もっともっと気付ける人になりたい。そう強く感じた千穐楽でした。
 
由紀さん。一切体調を崩されることなく、最後の最後まで本当に本当にお疲れ様でした!(ぶっちゃけ僕は中盤、一瞬体調があやしい時があった)
 
 
 
 
{431855FC-D647-471C-AD5C-658BDA98E97F}
 
Baby Booの皆さんバンドメンバーと。Baby Booはずっと毎日入りの早い由紀さんより先に会場入りしてて、由紀さんをお出迎えした後、ずっと練習してた(僕は本番の1時間前に劇場入り)。その真摯な姿勢と積み重ねがあのハーモニーを生んでいるんだなー。頭が下がります。
 
 
 
 
{5CF85941-28BF-4F9D-8F85-FD5FE4CBB544}

マルシアさんと。マルシアさんの歌声と、歳下の僕が使う単語では無いかも知れませんが、チャーミングなお人柄に我々はどれだけエネルギーを頂いたか!

由紀さんとも写真を撮らせて貰いたかったのですが、ちょうどお着替えの最中だったので、後日やる打ち上げの席で。


そうそう、今回の公演の最中にいちばんお邪魔したのは明治座の目の前にある「千日カフェ」。お店の皆さんが本当にご親切で、あと、栗ぜんざいも、かき氷も、マンゴーワッフルも、ところてんも美味しかった。公演終わってもまた遊びに行きます〜。