音楽プロデューサーで選曲家、そしてJ-WAVEの「サウージ・サウダージ」のチーフ・プロデューサーでいらっしゃる中原仁さんと、パーカショニストであり、かつてMTVのVJをやられてたKTa☆brasil(ケイタ ブラジル)さんの共著「リオデジャネイロという生き方」が、本当に素敵です。

{C15EDC37-CE87-4AEF-A9E5-50B0828AAA3B}



ブラジルには、先住民のアジア系が、その後ブラジルを植民地にしたヨーロッパ系が、労働力として連れてこられたアフリカ系が……諸々の合わさった多民族国家。多民族ぶりでいうと、ウチナンチュが居て、県外の人も居て、アメリカ系の人も居て、東南アジア系の人も居て……という戦後の沖縄に近いかも知れません。

特にリオデジャネイロは1960年までブラジルの首都だったので、様々な人が集まって形成された人種の坩堝の街。そんな街の流儀は「出自の違う人たちの集まりなんだから、相手揚げ足を取る前に、お互いの個性を尊重する」のと同時に「逆に全く同じ価値観を共有出来るのは家族だけだから、家族を何よりも大事にする」とのこと。僕からすると、知らない者同士が隣り合う都会みたいな場所においても応用の効く「楽しく生きる知恵」のようにも感じるのです。

世界の大都市には必ずチャイナタウン(移民の中国人のコミュニティ)が有る、と言われている中、リオにはチャイナタウンが無い、という驚きの事実に象徴される、相手を孤立させない街の人生哲学。

もちろん音楽やサッカー、レストランにも触れている章もあり、たくさんの幸せをくれる一冊。「(老若男女)みんなが歌える歌がある」という章は、僕がブラジルに感じる美しさを象徴していて、結構ジーンと来てしまいました。そこもちょっと沖縄みたい。

2月のブラジル滞在、この本があったらまた別の楽しみ方が出来たなー。先に読んでおきたかった。これを踏まえて、また来年行きたい……。中原さんとKTaさんの着眼点の違いも読んでいて楽しいです。


ちなみに、リオデジャネイロは、僕も敬愛するボサノヴァの生みの親の1人、アントニオ・カルロス・ジョビンの街でもあります。惜しくももう鬼籍の人ですが、生前の彼への敬意を表して、リオのガレアォン・アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港(凄い名前!)に到着する前に、機内で往々にしてインストで流れるのはジョビン作の「ジェット機のサンバ(Samba de Avião)」。その瞬間、ワクワクしながら、同時に涙が出そうになるのです。

といいつつ、このYouTube画像で最後到着するのは、国内線のサントス・ドゥモン空港っぽい。まぁ、ざっくりジョビンの街ということで……。