ハーモニカって実は2種類あるの、ご存知ですか。

ひとつは、長渕剛さん、山崎まさよしさん、ゆず、いきものがかり……いわゆるアコースティック・ギターを弾きながら吹いている印象の強い「10穴ハーモニカ」。「ブルースハープ」と呼ばれることが多いです。我々が小学校で習うのも、この構造のハーモニカ。

これは、Cのキーで言えば、ド-レ-ミ-ファ-ソ-ラ-シ-ド、ピアノで言う白鍵の部分のみが出るハーモニカで、半音部分、ピアノでいう黒鍵部分がありません(吹き方や吸い方によって、低く鳴らして、半音を表現することも可能)。なので、曲のキーに合わせたブルースハープを使います。「乾杯」ならCのキーのブルースハープを、「セロリ」ならAのキーのブルースハープ、と言った具合に。



そして、もうひとつはクロマチック・ハーモニカ。これはスティービー・ワンダーが両手を使って吹いているものと言えば解りやすいでしょうか。写真の横のボタンを使って半音(ピアノでいう黒鍵部分)が出せるハーモニカ。曲のキーを選ばないので、転調や半音を使うことが多い音楽、ジャズのエッセンスのあるもの向き。基本はこれを1つ持っていれば、どのキーの曲でも吹けますが、音階の構造がブルース・ハープと違うのと、吹く吸うの塩梅が非常に難しい楽器なのだそうです。



つまり、音色は同じハーモニカと言えども、構造的には全くの別物!

……と、ぼんやり捉えてた違いを、先日キチンと教えて貰いました。

某レコーディングで、どうしてもクロマチック・ハーモニカを入れたくて、はじめてお願いした田中光栄(こうえい)さん。本当に素敵な演奏で、レコーディングだけでは飽き足らずに、ライブにお邪魔してきました。いやー、田中さん、すげー。そして、クロマチック・ハーモニカの音色、好きだー。世界的に見ても、演奏人口は多いけれど、インプロビゼーション(ジャズの即興)に対応出来るプロが絶対的に少ない楽器だそう。本当に難しいんだろうな。

という訳で、去年末に僕が小さな声で歌った動画をアップしたメル・トーメ作の「The Christmas Song」の田中光栄さんと、スウェーデンのFilip Jersさんという方がクロマチック共演している映像。はー、美しい。

尚、田中さんは10穴ハーモニカも、クロマチック・ハーモニカも両方お得意な方。




最後に、おそらく世界で一番有名なクロマチック・ハーモニカの入った曲。スティービー・ワンダーの「Isn't She Lovely(可愛いアイシャ)」を。僕がはじめて中学生の時にスティービーを知った1曲でもあります。スティービーのハーモニカ・ソロが素晴らし過ぎてエンディングを短く出来なくて、長~いフェイドアウトにした、という逸話がありますが、全く異論ございません!

ちなみに、これはショート・バージョン。元のバージョンは最後4分くらい吹いてます。これでも結構長いですけどね!