リオデジャネイロで過ごした週末から1週間。戻ってきたサンパウロで余りに理解できないポルトガル語の授業を聴きながら、今週末はどう過ごそう、そんなことを考えていた僕。またリオにも行きたい。でも、ずっと憧れていたあの街にも……。

その街の名前は、ブエノス・アイレス。

「アルゼンチン」と聞くと、僕の中ではサッカーの印象だったり、国境線を調べるのが好きという僕の暗い趣味の観点から言うと、フォークランド紛争を始めとした軍事政権にまつわるエピソード……いささか短絡的ではありますが、いわゆるマチズムといいますか、漠然と「強い」という印象になります。

対して、首都「ブエノス・アイレス」という名前を聞くと、「ブエノス」=「良い」「アイレス」=「空気・風」で「順風」という名の街、ピアソラを始めとしたタンゴの世界、「南米のパリ」と称される美しい街並み、ウォン・カーウァイ、吉本ばなな……急に官能の薫りが。

…と自分の持っている数少ない知識を総動員させて、週末限りの弾丸ブエノス・アイレス行きを決断したのでした。

チケットはskyscannerでサンパウロから往復で5万円くらい。先日のリオの時と同様にairbnbで民泊の安い宿を探します。ブエノスアイレスの街を縦に貫く「7月9日大通り」(また名前が良い!)の近くにある、4000円くらいの部屋。

今回サルバドール、リオと行った感じでいうと、飛行場には1時間前くらいに着いていれば充分なので、朝の6:50の便であれば、6時ちょっと前くらいに空港に着いておけば問題もない、と。



という訳で、前日は語学学校で知り合った人と飲んだりして迎えた当日朝。

空港に6時ちょうどくらいに到着して、カウンター前に行くも、職員は誰も居ません。んん?「アルゼンチン航空はここですか?」と空港職員の方に聞くと「そうだ、ここで待ってさない」と言われて、そのまま10分くらい待機。

あれ?通常搭乗って30分前くらいからだよな。だとしたらもう搭乗開始10分前……。

誰も来ない。嫌~な予感がします。別の空港職員を掴まえて「アルゼンチン航空に乗りたいのに、誰も居ない。間に合わなくなる。どういうことなんだ」と詰め寄ると「奥に事務所があるから行ってみなさい」と言われ、言われた通りに空港の職員用の廊下を猛ダッシュします。

ブラジルの公共施設は、日本では余り嗅いだことがない無機質で冷たい洗剤の匂いがします。

怖い。言葉が通じないの、怖い。知らない国、怖い。この匂いも、怖い。もう何もかもが、怖い。

言われた事務所には一人だけアルゼンチン航空の職員が居たので、その人にダダダダダと早口で事情を説明。搭乗手続きはどこで説明すれば良いのかを聞きます。すると帰ってきた答えは



「だって国際便だろ。搭乗手続きは出発の1時間前に終わってるよ。もう乗れないよ」



ぎゃーーーーーーーーーーー

(続く)