平井堅さんの20周年記念ライブ@中野サンプラザ。

考えてみたら、僕は学生時代、いっときラテン音楽のサークルに居た関係で、完全に南米の音楽一辺倒で、日本の音楽を聴かずにいた時期があったのですが、再び日本のポップスに回帰して、自分自身がライフワークとして取り組んでみたい、と思うきっかけがいくつか有りました。その時期にちょうど脚光を浴びておられ、僕が仰ぎ見ていた男性アーティストの2大巨頭のうちの一人が平井堅さん。

それまで"熱唱を楽しむもの"とされていたJ-POPに、"スムースな歌唱を堪能する"という一石を投じたのが、'00年の頭の平井さんの「楽園」だと思っていて(そのプロデュースをされていたのが、一緒にライブを観に行った松尾潔さん)、そこから「Miracles」「KISS OF LIFE」といったR&B的スムース期を経て、「大きな古時計」「LIFE is...」「瞳をとじて」でJ-POPに接近して……「POPSTAR」で……「哀歌(エレジー)」で……「いとしき日々よ」で……「グロテスク」……語り出すと多分ウザいので、やめておきます。

にしても、ライブを観て改めて、壮大なバラード有り、スタイリッシュなR&B有り、和むフォーキー有り、泣きの歌謡曲有り、情けない男のうた有り、女の情念のうた有り、博愛のうた有り、4つ打ちのクラブチューン有り、アルバムやシングルのカップリングには、いつも、ご自身を歌ってるであろう繊細で私小説的な楽曲が有り、平井さんってJ-POPのシンガーソングライターの中でも、屈指のバラエティーの豊かさ。

ヒット曲を聴くと、瞬間的にその曲が流行った時代にタイムスリップ出来る、などと言いますが、平井さんのように複数のヒット曲がある方のライブは、点が線になって、僕自身の大人になってからの年月を走馬灯のように思い返す格好に。そして、そんなもの凄い数の小宇宙をご自身の歌声と、あのサービス精神で、全てコントロールする人生って、どれだけのエネルギーを要するんだろう………同時にスターの人生も勝手に想像して、勝手に気が遠くなりそうでした。ってか、歌はもちろんなのですが、MCも面白すぎました。

そして、また何年後かにインド人のコスプレで群舞するPVが流れた2015年を思い返すのだと思います。10年以上前に、街中で、お、長身のスタイルの良い中近東の人がいるな、いや、待てよ、違うぞ、あれは………平井堅だ!!(知り合う前)などと思っていた僕にとっては全く違和感のないMVでした……。

平井さん、20周年、おめでとうございます!

あと、バンドもとにかく素晴らしかった!日本の数あるライブバンドの中で、ひとつの「正解」の形だと思いました。




で、そんなことを思いながら楽屋に向かうと、まさかの冒頭に書いた2大巨頭のもう一方が居たんです。スガシカオさん。あまりに出来すぎた展開で、話がさらに長ーーーーくなりそうなので、その話はまたいつか。