小学校の時の遠足で高尾山に行きました。京王線の車中で、自分だけが学校から上履きのまま来てしまったことに気づいた時の、全身から血の気が引く感覚を今でも思い出します。

何せ生まれて初めての登山だったので

「上履きというものは強度的に致命的な欠点があって登山なんて出来ないんじゃないか(=だからこそ外履きと上履きは別モノなのではないか)」

「先生に猛烈に叱られるんじゃないか」

この2点で川口少年の小さなハートは2/3くらいが埋まってしまって、気が気じゃありませんでした。結論から言うと、上履きというものは思った以上に丈夫で、登山には何の支障も来たしませんでしたし、160人くらい居る生徒の足元なんて、先生も、何なら友達すらも、誰一人見てませんでした。



あれから30年。先日某楽曲が無事完成して、そのタイミングで連絡を取ったプロデューサーの松尾潔さんが、音楽ライターの林剛さんと高尾山登山をされる話を伺い、お邪魔なのは承知の上でジョイン。

前日の知人の誕生日のアルコール分を多分に体内に含んでいたので、R&B偏差値90くらいのお二人の会話のシャワーで身を清めるべく出発。



……の筈が、家の周りは朝からゲリラ豪雨級の雨。このシャワーは不要!

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待ち合わせ場所の新宿駅で、林さんが調べて下さったところ、23区内は雨だけど、高尾は晴れとのことで、あの日以来の高尾へ、いざ。

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本当に晴れ!




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あまりにR&Bに詳しいお二人を目の前に、一瞬巨人に立ち向かう蟻のような無力感に苛まれますが、そんな無力感を感じることこそが、まるでお二人と同じ俎上で自分を語っているようで烏滸がましい

……と早々に開き直って、お二人のR&Bマニアトークショー in 高尾、存分に堪能しました。





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山頂が一番晴れてました。ちなみに、雨で登山が中止になると踏んでいた松尾さんはビーチサンダルで新宿駅に現れた為、そのままビーチサンダルで登山。





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仏教十善戒

不邪婬(ふじゃいん)「お互いを尊重し合おう」……漢字のままの方が本来の意味を雄弁に物語っている気が……

不悪口(ふあっく)「優しいことばを使おう」……ふあっく、ふあっく、フアック、フアック、ファ……

仏の教えを前にして、日頃の心の汚れが露わに……。改心します……。





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で、前日にオープンしたビアガーデン。2時間、飲み放題&食い放題なんだぜ。イエーイ(その時の写真はこちら)。



そもそもはお二人が今度出される書籍のヒット祈願登山だったのですが、高尾に到着したら晴れで、ちょうど飲み食いが終わったタイミングで雨が降り出す……山の神様も、仏様も、運も、すべて味方!

そんなこんなで、松尾さんは「松尾潔のメロウな季節」(前作「メロウな日々」が赤、今作の「メロウな季節」が青いアートワークなので、今回は通称"青メロウ")、林さんは「新R&B入門 ディアンジェロでつながるソウル・ディスク・ガイド 1995-2015」という本を出版されます。

松尾さんの本は前作の続編で、R&Bスターたちの人生と並走してきた松尾さんならではの音楽美学であり人生美学のたくさん詰まった美メロならぬ、スーパー美本。林さん(荘治虫さんと共著)の本は、まさにタイトル通りで、ディアンジェロをはじめとした現代のソウル・オリエンテッドなスターたちの音楽を形作っているルーツの音楽のディスク・ガイドだそう。楽しみ!