フランスの「反アマゾン法」。政府が街の小規模の本屋さんと文化を保護するために、アマゾンの配送無料サービスを禁じた、というもの。フランスは3500店ある書店のうち、800店くらいが独立系書店なのだそう。

僕自身の生活も相当な割合でネットショッピングに依存しているので分かりますが、確かに送料がタダならば、わざわざ本屋に買いに行かないかも(僕はアマゾンのプライム会員なので、一応は金払ってることになりますが)。地方にお住まいで本屋さんが近くにない方であれば尚更でしょうし、海外でも基本は同じなんですね。

そんなこんなで今回の法案を諸手を挙げて全フランス国民が歓迎している訳ではない筈ですが、それでも「同じものなら安い以上の価値って何だよ?言ってみろよ!」と言わんばかりのアメリカ的な市場原理を押しのけて、「何が美しいか、考えた結果だ!」と突っぱねるフランス、相変わらず頑固オヤジみたいで良いなぁ。最近出来た国の、設立20年の会社に、自国の文化ごと消滅させられては、たまったもんじゃない、っていう選択。

にしても、その人なりに何が美しいかを考え抜いて辿り着いた結論や生き方を持ってるか持っていないか、っていうのが、ここから先に生きる人間が一番問われる部分だなー、と最近思います。

…なんていうのを、この前土岐さんに紹介して貰って初めてお会いした世武裕子さんのアルバム「アデュー世界戦争」を聴きながら。実に美しいアルバム。無理矢理フランスにこじつける訳ではないですが、世武さんはフランスに音楽留学されていたそうで、偶然フランスとは縁の深い方。