芸人分析~チュートリアル~ | 元芸人として・・

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元芸人がお笑いについて真面目に語る場。多少の自己満足あり・・

2年前にぼちぼちとやってた事を少しネタがたまったので(笑)、久々にやってみようと思います。なお、くどいですがこれは芸人の批判ではありません。私などに批判する資格なんかないからです。あくまでも堅く分析し、より深く楽しんでいただくというのが目的です。

さて、久々の今回は一昨年のM-1グランプリの覇者チュートリアルさんです。もともと第一回のM-1グランプリで決勝まで行ってるように、昔から関西では評価されていたコンビです。その頃のネタは、いたってオーソドックスな漫才で、話術をいかした構成で笑わせるタイプだと思っていました。その上、ボケの徳井さんが男前なので、タレント性もあり、このまま行くのかなぁと思っていました。

ところが…今はそうではなくなっています。正直、こんな引き出しがあったのかと驚きました。

それは「妄想する変態」という要素です。これは斬新な発想です。しかもこれを男前の徳井さんがやることによって、それだけで笑いの基本である「落差」が生じます。

例えが悪いとは思いますが、徳井さんと同じことを130Rのホンコンさんがやれば間違いなくどん引きになるでしょう。なぜなら、本当にそういう人かも知れないと考えられてしまうからです。ところが、徳井さんがやると誰もそういう人とは考えないでしょう。だから、引くことなく話を聞こうという事になります。

さらに変わったと思うのが、ネタの内容が構成よりも発想重視になったことです。どういうことか?例をあげるのであれば、M-1優勝のときのネタで島田洋七師匠が気に入ってた「ゆきずりの女を抱いた」というフレーズです。これは私も大爆笑してしまいました。このフレーズは、これだけでも面白いんですが、自転車のチリンチリンをなくしただけでそれをしてしまうのかという大きな「落差」が大きな笑いを生んでいます。この部分で笑いをとるのであれば、もっと簡単なフレーズでも行けるはずです。例えば、捜索願いを警察に出したなどです。こんな面白くないことでも「落差」が生まれるので、技術・構成力があれば笑いをとれるはずです。そんな中で「ゆきずりの女」というフレーズは恐らく誰も予想できないでしょう。このフレーズをチョイスできるっていうのはすごいと思います。

この変化によって私が言う漫才の要素、キャラクター・構成・発想・技術の4要素がバランスのよい、しかも大きな四角形になりました。現状の漫才であれば欠点が本当に浮かびにくいコンビです。完全優勝も当然の結果です。現時点でこのバランスがチュートリアルさんを上回っているコンビは私には見当たりません。もちろん、発想だけなら、構成力ならば上回っているという人はいますが、総合力でいえば今の若手の中ではトップだと思います。老若男女問わず笑わせることが出来ますし、これからも楽しい漫才を見せてくれるのは間違いないでしょう。