day2はday1と打って変わってスコアが良かった。データムで見ると午前は0.32IMP、午後は1.75IMPとあったのだけど、裏は逆に昨日と真逆のスコア。結局チームとしてはサブアベレージに落ち着いた。
そう言えばday1の残りがあったのでまずはそこから。
"お手製システム"
僕の手は
KT84
AKQ
QT65
63
オークションはPdからフリーランで、
1D 1S
2D 2H*
3D* ?
*1RF
**11-12, 2- spades
plan your bid.
3NTか5Dの選択。僕は3NTが出来る手で5Dが落ちる手よりその逆の方がはるかに多そうだと思ったので5Dを選択した。
フルハンドは以下。
5D by Eastはハートリード。HA勝ってトランプ集めて、ハートでダミーのクラブを捨てられるので6メイク。裏は4H、良いコントラクトだがハートのバッドブレイクがあり-1。非常に良いスコアである。
1日目、しんみちの初めて入る魚系居酒屋にて。
Pd「これ現状のシステムではハートを示せないんですよね。」
このシステムでは、3Hはinv.に乗るH4D6の手。リバースはしないくらいだからそれなりに限定される。
2Hがハートを保証するシステムとそうでないシステムがあって、Pdはナチュラリストだから2Hには3Hと言いたそうだ。
一方そうでないシステムでは2Hの所で3Cが1RFになるんだけど、僕は3Cはナチュラルにして、3NT以下でダイヤのグッドサポートを持ったハンドを示して3NTと5Dを選びたいから、このシステムを採用してもらっている。
うちの1m-1M;2m後のシステムは、一番低いビッドを1RFとしてシンプルチェックバックっぽく答えるものを採用している。実際のシーケンスを例にすると、
1D 1S
2D 2H*
?
*1RF
?=
2S S3, bad
2NT S2-, good
3C S3, good
3D S2, bad
いいところは2Sで止まれるところ、S5D4の8点くらいで(goodなら5Dやる覚悟で)advanceできること、3D未満でスラムトライを示せることが多いことなど、悪いところはそれなりに杓子定規に判断しなくちゃいけなくて、NTのサイドが微妙になりうるところか。本当は3H,3Sを使ってS3ありショートありなどを示すことができるともっと良いのだけど、それはそれでちと疲れそうで採用していない。
このシステムは2015年にsuigenとどっか行った時作ったシステムで、入念に準備したのに10日間一回も出なくて驚いた記憶がある。
テーブルでは一番スペース奪われる3Dが返ってきたので判断が難しいところだったけれど、点足りないなら5Dでしょ感のあるハンドだったので適切な判断を下すことができた。
「ま、今回はうまくジャッジしたので、とりあえずアグリーメントは継続ということで」
そんなこんなでお手製システムはまだ存続ということに相成った。
さてday2に入ろう、まずは午前から。
僕は終日East。
"4.5クラブ"
Both Vul. 4th seat.
あなたの手は
K
T3
9643
K87654
オークションは左手から
2H X 3H P
P X P ?
plan your bid.
Pdは4Cを選択しそれが流れる。
フルハンドは以下。
もう見た目通り5Cはバキバキ凍っていて、なんなら6Cも良いコントラクト。6メイクは+170でプッシュ。
テーブルでは変わったハンド持ってるねとか皮肉を言ってしまったが、Westの判断は難しい。
初手3Hにパスせず4C言っちゃうと楽とノンプロは言うが、3NTを越えているとはいえ、この手でそれはどうなのかという感じもする。2回目のチャンスでは5Cも悪くなさそうだけど、ハートが2敗と思うとダイヤノールーザーがそれなりに厳しそうな感じもする。抑制の効いたSouthの3Hレイズが光る。
Bridge Winnersのpollでは、初手4Cと初手パスからのあとで5Cはほぼ同率。
フルシーケンスを提示した上でのpollなので、「あとで4Cか5Cか悩むくらいなら先に4C言うことにしよう」と考える人もいるだろうから、初手4C優勢と見ていいだろう。
初手パス派から、"4.5クラブはビッドできないから5をビッドする"というコメントをくれた人がいた。なるほどね。
これは取決めをしたボード。
Neither Vul. 2nd seat.
僕の手は
K98652
654
94
87
オークションは右手から
P P 1NT* X
XX* ?
*11-14 BAL
** S+DかH+C
自分は弱いけどまぁ相手が繋がるやろ、と思ってパスすると
P P 1NT* X
XX* P 2D*** X
P ?
***D5+、自発的な逃げ。
Pdのダブルはバリューであろう、18点くらいからダブるかもしれない。
ちとバリュー足りないんだけど、左右がスペード持ってなさそうなので…3Sくらい?いやそれはないか。2Sとすると、
P P 1NT* X
XX* P 2D X
P 2S P 3NT
P ?
僕のスペードが何枚と伝わってるかは微妙だけど、Pdは2回目ダブルから入っているからランニングマイナーなどは流石にないだろうと思われる。最低6-2フィットの4Sに戻してオークションは終了。
AQ
AJ9
AK52
QT53
K98652
654
94
87
実際SouthのクラブはAK、加えてSJxxも持っていたので、脳死でクラブを選んでいたらダウンだった。
Pdの2回目のアクションはダブルより2NTが優勢か。とはいえ2回目のダブルにゴリゴリのテイクアウト手しか入っていないとは考えにくい。クラブ5枚あればスペードが2枚のこともあり、僕の2Sに3NTが返ってきたなら2=3=3=5などのスペード2枚手が濃厚になってくるだろう。
取り決めとしては、ちょっとシチュエーションが違うけど、ダイレクトに3NTをオーバーコールした場合の4way TRFと4Cの5-5Mが決まりました。もはや関係ない?
"報われたかった"
次はディフェンスのお話。
Q6542
6532
Q8
87
オークションはオポーネントのフリーランで、左から
1S-2H;3D 4C;4S//
PdのリードはCJ、ダミーは
-
AQJ84
T9
AQ9653
T1:CJ,3,7,K
T2:SA,3,H4,2
T3:SJ,K,H8,4
T4:C4,(少し悩み、)5,8,T
T5:ST,C2,C6,5
T6:S9,H7,HJ,Q
T7:?
なんか、クラブの様子が変だぞ?
SQ勝って、そろそろ決断の時間。
plan your defense.
フルハンドは以下。
これはPdのディフェンスプロブレム。僕目線で語ってみよう。
僕はEast、リードの選択はダミーのメインスートっぽいハートかクラブの2択。いきなりHTリードをするとなかなかQをフィネスできないというのはあるが、ディクレアラーがHAを持っている時はお振込みかもしれず、また実際そうであるようにフリーフィネスされてしまう可能性を考慮してやめた。
それよりもダミーエントリーを攻撃するクラブの方が良いと判断し、ディクレアラーのクラブが短そうなのでCJを出すことにした。このハンドではCJの効果が見えてこないけど、仮にディクレアラーがKx、ダミーがAT987などと持っていたら、CJは良いリードとなる。
ディクレアラーはリードを手で勝ってSA,SJ。僕のSK勝ち。
こちら目線ではクラブもハートもコミュニケーションを切らなくてはならないが、T1にPdからカウントシグナルが出ていると考えると、UDCA的にクラブだけはコミュニケーションを切らなくてはならないだろう。C4と続けてみる。
ディクレアラーは少し悩んで手のCTで勝ち、ST。ここでC2を捨てるとパートナーの瞳孔が開いた(ような気がした)。そらそうだ、さっきまでオポーネントのクラブは6-3fitで、コミュニケーションは切れないものと見えていたのだから。
テーブルではSQをすぐ勝ち、ダミーとのコミュニケーションを切るためにハートリターン。ディクレアラーは手のダイヤをHQとHAで2枚捨てて、クラブ。ラフ、オーバーラフ。
S2敗D1敗でメイクとなった。ここで問題、Pdはスペード勝った後、何を返すべきだったのだろう。
Pdにとってディクレアラーのシェイプは6=1=4=2か7=0=4=2かのゲスとなっている。前者ならばハートを返さないと必ずメイクされ、後者なら逆にハートを返すのは損しかない。
T5でスペードを1巡ダックしてディスカードを見ても本質的にはわからないのだが、実際にはオークションをよく見れば気づいたかもしれない。
というのも6=1=4=2形でハート返して落ちるパターンは、ディクレアラーに最大でSAJTとDAJ、CKしかアナーを期待できない。その場合オークションは、1S-2Hに3Dでなく2Sを返すのが一般的だろう。
オークションを正当化するためにディクレアラーにDAKxxを置くと、ハートを返しても返さなくても最初から出来ているので、その手はディフェンスから取り除くのが手筋である。
また相手のオークションは情報として質が落ちるが、カードプレイは何よりも雄弁に語る。ディクレアラーはT4のクラブコンティニューで手で勝つかダミーで勝つか少し悩んでいたが、もしディクレアラーが6=1=4=2だったらそんな時間は発生するだろうか?6=0=5=2でダミーのHAを取るべきか悩んだのと考えるのが合理的推論だっただろう。
これら複数のヒントから、Pdはスペードかダイヤを返すべきだったと思われる。
「ところでCJリードびっくりした?」
「途中までディフェンスやる気起きなかったです。」
「あれはTさんリスペクトなの」
なおスペードを返したとして、ディクレアラーがトランプを集めてDAと出した時、Pdは僕にDJ76xを期待してDQを捨てる必要がある。そういう意味では、よく噛むとなかなか味のするディールだったのではないかと思う。
次はPass-Double inversionのボード。
僕はEast、オークションは
P 1H 2H P
2NT* 3H 4D 4H
4S 5H P** P
X//
*minor ask
**平凡な手ならXを要求
僕の2NTは両方のマイナーサポートとバリューを意味するが、今回は4Sを置くことを前提に前向きな意味合いで使ってみた。
仮にPdが
AKQxx
x
Kxxxx
Kx
から少しでも良くなれば6Sが良いコントラクトになるし、万一クラブがフィットした時は5Hで売ることができなくなるだろう。
実際のオークションでPdはダイヤに魅力のあるマイケルズ形を伝えられたので、フォーシングパスシチュエーションで自分の手を平凡な手と判断し、ちょうど良いところに収まることができた。
もしクラブかハートのどちらかがボイドだったりもう少し強かったりしたら、パスの代わりにXを置いてスモールスラムの提案をすることができただろう。
"倍プッシュ"
このラウンドはユースとの対戦。
彼らは初日最下位みたいなところから始まっていたが、2日め昼にはほぼアベレージで、私たちの直下の順位につけていた。
本気のアベ争いだねとか言いながら何個かハンドをこなし次のボード。
僕はEast、オークションはPdから
P P 1S 2C
P 2NT P 3C
P 3NT ?
僕はダブルを選択してそれが流れる。
ディフェンスはハートを上から4つとってPdからスペードリターン。SAには一応ノンカモンをだし、DQにはローを出したが、ディクレアラーは諦めて上から8トリックをクレームした。
試合が終わった後すこし話す機会あり。
フルハンドを見ながら、
「これ基本、正当な出来目なくて良かったね。」
「何も試せなくなるところでした笑」
単純にオーバービッドを咎めただけのように見えるが、僕はダブルに「倍プッシュ」の役割を持たせた。
落ちる時はめちゃ落ちることが見えてれば、ビッドのみならずカーディングや以降のボードでも有利に働くことがある。4Cへのコンバートは許す予定であったから、ダブル掛ける側と掛けられる側のプレッシャーに大きな収益機会がある。
これで"分からせる"ことができたかと思った次のボード。
オークションは若者のフリーランでNorthから…あれどんなだっけな?
結局5Dが6メイクして-620。いかにもスラムルーズという感じだったのでやはり僕の倍プッシュダブルが効いたかな?と思ったら、裏は大変なことになっていた。
裏のオークションは
1D 1S
3C 3NT
4C 4S*
4NT** 5D***
P**** (X*****) P
5S (X******)//
*普段こういうクラブのadvance cueをしてくれる人ではない
**勝負の謎RKC
***なんにせよ0枚
****渾身のパス
*****謎ダブル
******にっこりダブル
Northのノンプロの混迷が伺える経過だ。
曰く4Sで雲行きが怪しくなり、5Dに渾身のパスの後Eaの(謎)ダブルを見て6-0ブレイクに違いないと思ったノンプロは、4Sに微かなナチュラルの灯を見つけてコンバート。一番ダメな7枚フィットを選択して5Sxは2ダウン。
このボードはスコアをつけに行ったらノンプロが怒り狂っていたから、オークションだけ聞いたあと裏のEastに事情聴取をした。
「君これさ…」
「あぁー、春季リジョナルでチームメイトなのに申し訳ないことをしたなと」
申し訳ないこと?
「いやー5D出来そうだけど、コントラクト変えてくれそうだなと思ってダブりました」
ははは、こやつ。
「4Sはできてんの?これ」
「多分10トリックあります」
「すると何、Northは3NTのパスでプッシュ、4Sのパスでプッシュ、5Dのパスでプッシュ、5Dxのパスで+9IMPとなる4回のパスを逃して-15IMPになる5Sを選択したってわけか。」
「そういうことになりますね笑。」
「2回目のダブルはにんまりだったでしょ」
「いやー悪いことをしました」
これは悪い顔しちゃうね。倍プッシュの仕方は裏の方が上手でした。しかしノンプロ、いつも一撃がでかいわね…
そしてこのボード。
オークションは僕から
P P 1S X
XX 2H P P
2S P P 2NT*
P 3H//
*テイクアウト
きな臭いオークションでNSどちらが競るべきかは微妙だが、Northは所与の条件下で素晴らしい2NTコンピートを選択した。
プレイはスペードの2回目をダミーで切ってHJでフィネス。ここでCJと進むと4メイクした気配ではあるが、実際はスペードを切りに向かい3メイクにとどまった。裏は2Sが怪しくメイクされていたが、DKリードから1ミスか、あり得なくはない話だろう。
この直対が痛く、われわれはアベレージから遠ざかり彼らを押し上げる結果になってしまった。ささやかな景品を獲得し終戦。
この日は良いスコアだったんだけど、なんで1日目から上手く出来なかったんだろうと後悔しきり。終了後は三井ガーデンホテル一階でイタリアンを食べて、Pdと歩き、満を辞して赤坂の東京サウナへ。
素晴らしいセッティングと絶妙な値段設定で満足し、そのあと来た道を戻る形で水道橋まで歩いた。たくさん話して、歩く途中で缶ビールを2本ご馳走し解散。早く終わるとそんなこともできて良いね。