17
4月の半ばくらいだった。
涼子は淡いピンクのネグリジェを纏い、眠りについていた。

今日は急患のため義母は帰ってこなかった。
だから夕食も義父の二人きりだった。
こんなふうに義父と二人きりの時に、なにを話していいのかわからない。

沈黙の時は流れ、食事は続く。
食事を終えた涼子は食器を流し場に持っていく。
そのまま洗ってもいいのだが、そうすると義母や八重に叱られる。
だからいつもかたずけるだけだった。
まず義父の食器を、そして自分のをテーブルからさげる。
いつもはこれに義母の分が加わる。

食器の片づけが終わると再び、義父のところに行き、深々とお辞儀をし、就寝の挨拶をするのだ。

「パパ、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ・・・・涼子もすっかり女の子になったなぁ・・それに益々可愛くなって・・」
「・・ありがとう、パパ、わたし、もっともっと女の子らしくなるように頑張るわ」
「ああ、期待しているよ」

いつも大抵この程度の会話しか、義父とはしなかった。
その義父茶髪の長い髪をうしろで束ねている。
解いたところを見たことがないが、おそらく軽いカールのかかった髪形をしているのだろう、背中に垂れた髪にカールがかかっている。
身長は大きく、おそらく180cmを超えているだろう。
体つきはややふっくらとしていて、やや丸みを帯びている。
いつもゆったりとした服を着ているので、外見しか見ていない涼子にはそのくらいしかわからない。
やや甲高い声で話し、時折、まるで女の人のような声の時もある。
顔は一見すると女の人のようにも見える、まつ毛も長く、ぱっちりとした目元だった。
肌もすべすべで張りがあった。
涼子はきちんとお化粧したらきっと綺麗だろうな、と思っていた。
指先もほっそりとしていて、まるでテレビのCMでよく見る手のようだった。
そして時折、淡い色のマニキュアをしているときもあった。
そんな時涼子は見てはいけないものを見てしまったと思い目を伏せたり、顔をそむけたりするのだった。

食事を終え、涼子は自分の部屋に戻り、備え付きのお風呂に入るのだった。
もちろんタックをはずし、長い髪を洗うことも忘れてはいない。
そしてこの濡れた長い髪を乾かすのにも慣れてきていた。
少々面倒くさい、確かに短いほうが後の手入れが簡単だ。
しかし涼子は短く切ろうとは思わない、この長い髪こそが女の子である証なのだ。

長い髪を洋服に合わせて変える楽しみを最近知ったのだった。

まだまだ女性としては未熟の涼子だったが、義母のおかげでやっと同年代の女の子くらいにはなっていた。