今の家に越して来てから夕方になると、
ほぼ毎日聴こえて来た。
「ウォゥ ウォゥ ウォゥ」
どこかしら寂しげな犬の遠吠え。
それは30m程先の家の庭に住む年老いたコリーのモノであった。
家の前を通る時、試しに声をかけてみた。
「ウォゥ ウォゥ ウォゥ」
すると必ず、ムクっと起きだして
「ウォゥ ウォゥ ウォゥ」
と返してくれた。
それがいつからだろうか?
聴こえなくなった。
家の前を通っても見かける事は稀になった。
飼い主さんと話したら13歳で年老いて来たので
家の中で過ごさせているのだと言っていた。
その子が先週、久しぶりに庭に出ていた。
そこで声をかけた。
「ウォゥ ウォゥ ウォゥ」
彼はメンドクサソウに少し小さい声で
「ウォゥ ウォゥ ウォゥ」
と答えてくれた。
それ以降、彼の姿を見る事はなかった。
そして今朝、久しぶりに飼い主さんと出会ったので
彼の消息を尋ねた。
彼は昨日の朝、亡くなったそうだ。
亡くなる前に小さな声で遠吠えしたのだそうだ。
「ウォゥ ウォゥ ウォゥ」
ああ、もうあの遠吠えは聴こえないのだなあ。
なかなか哀愁があって、好ましい遠吠えだったのだけれど・・・。
優しい目をした、なかなか良い奴だったのに。
今の時代なら13歳は、まだ若いよねえ。
まあ、ともあれ安らかに眠れ!
合掌