サッカーの考え方には大きく分けて二つあります。
一つ目は守備を重視して「点を取られないサッカー」をすることです。
どんなに攻められても、相手に点を与えなければ、
少なくとも負ける事はありません。
このやり方の代表格が、1970年代からのイタリアでしょう。
もう一つは、とにかく「点を取りにいくサッカー」です。
僕の憧れの人の一人であったクライフが、こんなことを言っています。
「何点取られても、相手より一点多く得点すれば、わたしたちの勝ちだ!」
僕はこっち考え方のほうが好きです。
でも、たとえば少年サッカーを指導し始めた頃は(今から10数年前ですが)
前者の考えに基づき、まず最初に手がけたのは
「上手なゴールキーパーの育成」
「上手なDFラインの構築」
それから「ゲームメイクが出来る子の育成」でした。
そして、その闘い方は完全にポジションを固定したシステムサッカーでありました。
(むろん、小さなポジションチェンジはアリでしたけれどね)
それまで毎試合二桁失点していたチームは、あっという間に
「それなりに強いチーム」に変貌しました。
ポジションを固定した事で、運動量の合理化も出来ました。
当時、少しでも指導している子どもたちに考え方を理解してもらいたくて
「原小キッズ」を書いた訳ですが・・・。
しかし、数年後、違うチームでコーチを経験して、
考え方がガラリと変わってしまいました。
そのチームの基本方針は、明らかに「後者」であり、しかもポジションもGKでさえ
決まっていないチームだったのです。
今僕は、コーチの座を退きましたが、根本的に少年時代、その上のJr.ユースの時代においては
「何点取られてもくじけることなく、相手より一点多く取りに行くチーム」が
理想だと思います。
野球とは違い、サッカーのピッチの中には、ベースもありませんし、
誰がどこにいたって誰が点を取ったって誰が点を防いだって構わないのです。
特に少年の時代には、攻守の区別は無いに等しい。
どこでも「攻めて」どこでも「守れる」ことこそ教えるべきだと思うのです。
運動量は、ポジションが決まっているときに比べて格段に増えますし、
集中力を持続させる事は至難の技と言って良いのですが、
その状況を経験して来た子どもたちは、極端な話、
「どこでもできる」子になると思います。
オシムが常々発言していた「ポリヴァレント」とは、
要するにそういうことなんじゃないの?などとも思います。
特定のポジションのスペシャリストでありながら、必要に応じて
それ以外のポジションもこなし、守備の体制の時は、全ての人間で守り、
攻撃に転じた時、リスクを背負ったとしても全員が得点に向かってプレーする。
そんなチームが理想だと思います。
(特に大きなピラミッドの頂点にあるべきトップチームにこそ望みます)