昨日のコメントにホームページ経由で御質問頂いたのでお答えしておきます。
僕のイラストの得意分野は「動物」なんです。かと言って、「動物画家」と言って良いのかどうか?
僕の親は図鑑などに動物を描く正しい「動物画家」なので、「動物画家」というものがどれだけ大変な仕事か、熟知しています。
それに比べると、僕の動物の絵は、少し違うような気がしています。僕が描きたいのは動物のポートフォリオと言えばいいでしょうか?しかもグラフィック的にしたい。生態画も描けば描けますし、行動も描けます。でも少しだけ擬人化もしたい。だけれど洋服とかは着せたくない。だって、動物はマンマが一番美しいと思うからです。日本には僕と同じようなスタイルで仕事をしている人は少ないようです。それでも数人はいるようですが・・・。
僕が動物を描く時は親のそれと同じように資料を探し、時には現地に足を運び(滅多にありません。現地に行ったって、そうそう見れるものでもないし、まあ現地に行くのは環境を感じに行くだけです)または見た事のある人にインタヴューもします。その上で頭の中にターゲットになるべき動物が住んでいる「森」を作ってしまうのです。さらに多くの資料から頭の中で命を持った「動物」を生み出します。
そして「頭の中の森」に放してやるわけです。
「頭の中の森」は非常に便利です。動物はこちらのリクエストに応えてポーズさえとってくれます。それを思い浮かべてラフを起こします。しかしこのラフは「クライアントチェック」には使えません。そう本当にラフなんです。僕しか分からないコメントが記されていたり、森の葉一枚一枚なんて描いてませんから、普通の人が見ても何がなんだか分からないでしょう。
そんなふうにこだわって描いて行く絵なので、使用目的にこだわったりもするのです。
その動物たちや環境に良い仕事なら時代の責任でもあるので、条件面含め、かなり厳しくても大抵は引き受けています。でも環境破壊につながる企業とか、たとえば「毛皮」の広告だとか、あるいは動物をモノとしか考えていないクライアントさんのお仕事は、基本的に×です。
「時代の責任」と書きましたが、絵は見てもらう相手を特定できません。ですから極力ウソはつきたくないんです。特に子どもたちはファーストインプレッションが根付いてしまうものです。
たとえば、みなさんはゴリラという動物が凶暴な猛獣だと思っていませんか?木に登って胸を叩くドラミングを思い浮かべたりしませんか?これみんなウソです。でも映画「キングコング」の影響なのでしょうか?そんな風に考えている方が多いのです。
本当のゴリラの姿は戦いを好まず、非常に穏やかな性格の個体が多いようです。さらに彼らはベジタリアンです。成獣の体重は200kgを超えますから、木に登る事もほとんどありません。(稀にあるみたいですが・・・)そのゴリラたちは今絶滅の危機に瀕しています。
僕はゴリラの絵本を出しています。「ゴリラのジャングルジム」「タムとトムのぼうけん」「ムトトがきたよ」の三冊ですが、今購入できるのは「ゴリラのジャングルジム」だけです。(後の二冊は現在廃刊中つまり絵本も絶滅の危機に瀕してるのよ。ウ・ウ・)
この絵本の目的は正しい知識を伝えたいのはもちろんのこと、とにかく次代の子どもたちに「ゴリラを好きになってもらう」ことでした。自然保護を声高に訴えるより、彼らを好きになってもらい愛おしくなってもらえば、自然に「守りたい」気持ちになるでしょう。そこが大事だと僕は思うんです。