ロンドン紀行もそろそろ最終日が近づいてきまして。

 

今回、仕事も兼ねているので、アップできない内容も沢山あるのですが

 

今回の旅行で種まきしたものは、やがて皆さんにお見せできる日がくるでしょう。

 

ちなみに、昼間は色々と取材旅行をして

 

夜はずっと観劇しておりましたよ。

 

結構、大学の力を使って入手困難なやつをとってもらったんですが

 

今、ロンドンで一番人気はこれだそうですね

これはおそらく日本へも来るので

 

内容は秘密にしておきます。

 

ハリーポッターファンはこれを観ないと完結しないかもしれませんね!!

 

他にも色々みたんですが・・・

 

面白かったのはこれ

 

エクソシスト

 

あの映画の舞台版です。

 

演出の手法自体はハリーポッターと被っている場所もあるんです。

 

僕もそうなのですが、おそらく同じ演出のパーティーで勉強した演出家さんなんじゃないかしら

 

片方はファンタジー、片方はホラー

 

同じ手法でも、違って使える。面白いものです。

 

ロンドンのほとんどの劇場はお酒を飲みながら観劇できるのですが

 

エクソシスト(悪魔祓い)の話だけあって

 

酒がデビルです笑

 

つーか、血は飛び散るし、女の子の首はグルグル回るし・・・

 

クリスマスシーズンにこういうのを見るのはイギリス人の特徴ですね

 

VOICARIONのゴーストクラブでも紹介しましたが

 

そもそもイギリス人はクリスマスパーティーで怪談話を披露する民族

 

聖なるものと、その陰に潜むもの・・・両方楽しんじゃう

 

不謹慎でチャーミングで、面白い民族ですね。

 

なんで・・・僕もいただいちゃいました。

 

血のようなワインをね。

 

しっかし、グッチャグチャにえぐい芝居でした。

 

エグすぎて、逆に客席から失笑が出るのもイギリスっぽいですね

 

結論!すごく楽しかった! おすすめですねW

 

ハリポタと違って、これが日本に来るかどうかは謎です(笑)

 

 

ここで、ちょっと黄昏ていいですか?

 

30年前・・・

 

10歳の男の子がいたんです。

 

凄く自信のない男の子で

 

学業もスポーツも、なにもかも優秀な従兄弟たちの中にあって

 

全てが最下位で

 

お受験の塾では「この子は脳のキャパシティーが小さいから、ものを覚えるのは無理」

 

そう言われていた子です。

 

「将来、必ず親を泣かせる子になる」とかも言われていたんです。

 

その子は、1986年のある日、ロンドンでオペラ座の怪人の初演を観るんです。

 

鏡から登場する怪人。落下するシャンデリア、飛び散る火花、綺麗な衣装に、変幻自在な舞台

 

何より美しいメロディーと物語

 

「舞台ってこんなに自由なんだ」と心を奪われました

 

そう・・・つまり僕です。

 

それから、寝ても覚めても、このミュージカルの虜になりました。

 

その噂を聞きつけたのが当時はもうHONDAを引退して悠々自適に趣味の世界に没頭していた祖父の藤沢武夫でした。

 

「あいつに、もっと色々観せてみろ」

 

どういう心境だったのか今となっては分かりません。

 

ただ、あの瞬間から僕の人生が変わったのは間違いありません。

 

な〜〜〜んにもできない劣等生だった僕が

 

目の色を変えられるものを見つけたんです

 

祖父から最後にもらったクリスマスプレゼントもオペラのチケットでした

 

今でも大事にとってあるチケット

 

これをくれた年に祖父は他界しました。

 

そうすると今度は、祖父の記憶とお喋りをするために劇場へ行きました。

 

舞台を観ている時だけ、祖父が僕に話しかけてくるような気がしたんです

 

「つまらねーな」とか「あそこがイマイチだ」とか「ここからが見どころだからよくみておけ」とか

 

無論、ゴースト的なものじゃありませんよ。

 

生前、なんとなく聞いていて、記憶の片隅にあった言葉が蘇ってきたんですね。

 

それから僕にとって、劇場はお墓まいりするような不思議な場所になり

 

気がつけば、劇作家・舞台演出家になっていました。

 

今回の旅行で・・・

 

正直もう何度もみた舞台だし

 

演出の隅々まで理解してしまったオペラ座の怪人を観るかどうか悩んだんですが

 

観ることにしました。

 

この度は、自分がそもそもなんであったかを思い出す旅なんじゃないかな・・・そんな思いがあったからです。

不思議なもので、買ったチケットが

 

最前列・・・・

 

実は、初演で初めてみたのも最前列だったんです。

 

久々にオペラ座の怪人を観て気づいたことがあります

 

10歳の僕・・・・

 

そうか・・・僕がファントムだったんだなって思ったんです。

 

自分自身・・・オペラ座の地下で、誰からも認められず、寂しくて、でも自分には何かできるはずだと祈るように思い続けている醜いモンスター

 

10歳の僕は、きっとあのファントムと自分をかぶらせたんでしょう。

 

そんな気がしました。

 

舞台って不思議なものです。

 

ごくたまに、誰かの人生そのものを変えてしまう作品がある。

 

プロとなった今

 

まだまだ、力不足ではあるけれど

 

もしかしたら、誰かの人生に介在するかもしれないものを作ってるって

 

そう思いながら物語を作ろうと思いました。

 

終演後、雑踏の中に、昔の自分の幻影を観た気がしました。

 

その子は、あまりの衝撃に無言で出て来るんですよこの場所から

 

あまりに無言だから、両親は「まだ早かったかな」と思ったくらい

 

でも、その子の中では物凄い変化が起きていた。

 

夜風の味が違って感じた。

 

世界がカタチを変えていた。

 

まるで魔法にでもかけられたように

 

無言だったんじゃない

 

自分に今おこったことを言葉にすることができなかっただけ

 

ただ、その男の子の目の色は変わっていたんですね。。

 

そう、その10歳の男の子は、ここから歩き始めたわけです。

 

決して順風満帆ではなかったけれど

 

「でも大丈夫。なんとかやれてるよ」って、その子の幻影とすれ違いました。

 

 

 

ごめんなさいね

 

ちょっと、今回のコラムは半分自分自身のために書いてしまいました

 

絶対に忘れないように

 

例えプロになって

 

大勢のお客様の前で上演できるようになったとしても

 

僕は舞台が大好きなんだってことを

 

 

僕が舞台に助けられたということを