露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢

 

秀吉の有名な「辞世の句」です。

 

僕はどこか、この辞世の句を、シェイクスピアと重ねてしまいます。

 

人は役者、この世は舞台、そこには入り口と出口があり、人は様々な役を演じ、そして去ってゆく・・・

 

舞台というものは、幕が降りた瞬間から、壮絶な「バラシ」が幕内で始まります。

 

皆さんが、劇場をあとにするころには、かなりのセットは取り外されています。

 

「あれは夢だったのではないか」

 

そう思うのは、劇場をあとにするみなさまだけでなく、舞台に携わる我々でさえ

 

この惜別の時を、胸にぽっかりと穴をあけたまま迎えているのです。

 

露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢

 

人は役者、この世は舞台、そこには入り口と出口があり、人は様々な役を演じ、そして去ってゆく・・・

 

 

全ては夢のように消えてしまう。

 

でも、今回の舞台は、本当に胸に刻まれました。

 

最初は、「帝国劇場でやらせていただけるのですか?」という感謝の気持ちが大きかったんです。

 

しかし、総勢29人のキャストとVOICARIONのスタッフを引き連れて、帝国劇場に乗り込んだ時

 

「守らなくては」という使命感に変わりました。

 

明治になり、日本が欧米に追いつかなくてはいけないと最初に作ったのが、帝国ホテルと帝国劇場です。

 

それ以来、幾たびの国難の中、演劇の松明を灯し続けてきたこの劇場の

 

先人から引き継がれてきたその松明を、今握らされているんだという、責任感でいっぱいになりました。

 

この松明を消さずに、次へ渡さなくてはならない

 

様々な感染予防対策をし、スタッフ、キャスト、誰一人陽性者を出すことなく、劇場の松明を次へ繋げられたこと

 

僕たちはそれを誇りとします。

 

そして、劇場で、いくつものお願いに快くご協力いただいたお客様。

 

本当にありがとうございました。

 

「人はパンのみに生きるにあらず」という言葉がありますが

 

人が生きてゆく上で、演劇は絶対に必要です。

 

人には、心の胃袋もあるからです。

 

僕自身、演劇に救われた一人です。

 

また、スタッフ、キャスト一同も少なからず同じ経験をしているから、この仕事をしているのだと思います。

 

我々舞台人とお客様が協力しあわなければ幕があかない時代は、「大変な時代」と考えることもできますが

 

こんなにも、舞台人とお客様が心を一つにして幕をあけることの素晴らしさに、僕は胸を打たれます。

 

舞台の幕は開け続けます

 

物語を紡ぎ続けます

 

心の胃袋も満たすお手伝いをします

 

たとえそれが、一夜の夢となる儚いものでも

 

お客様が喜んでくださるなら、僕らはどんな努力だっていたします。

 

この度、帝国劇場へおはこびくださった皆さん

 

そして、配信というかたちで応援してくださった皆さん

 

本当にありがとうございました。

 

VOICARION 信長の犬 これにて幕でございます。

再び雨があがり、物語が始まるその日にお会いしましょう

 

原作・脚本・演出

藤沢文翁

 

P.S.

VOICARION公式からのメッセージです。

円盤化はされないようですが、セル配信されるようです。↓

 

「信長様に、ルキフェル瑠璃丸にすけたもに、光秀に秀吉殿下に…また後日配信で再会できます

今回全8組の多種展開ということもあり…ディスク化ではなくセル配信という初の試みになります。なんとか全組の名演をお客様のお手元に残したかったのです…… 詳報お待ち下さい

https://www.tohostage.com/voicarion/2020nobunaga/stream.html