異国の空港に降り立って、僕が最初にやる事は水をペットボトルで購入する事。 大昔の日本人が「生水には気をつけるんだよ」と諭したように、お腹が弱い僕には必須事項である。 色々試してみたが、アビアンが一番体にあっている。 幸いエビアンは世界中で入手できるので本当に助かるのだが、たまにボルビックしか置いてない空港や、体に悪そうな合成着色飲料ONLYの売店に入るとかなりブルーになってしまう。 こんな事ばかり書いていると、本当に虚弱体質に思われそうだが、旅が多い人間にとって体調管理は最優先事項ではないだろうか。 特に、僕の健康法の第一条は「水を十分に摂る」事である。 ロンドン大学で学生をやっている時、ほとんどの生徒は水道水を飲んでいたが、僕は食事代を削ってもミネラルウォーターを飲んでいた。 「旅」といえば旅になるのかもしれないが、僕は英国に留学していた。 一番長くて思い出深いその旅の始まりはやはり空港で水を買う所から幕をあけた。 ヒースロー国際空港は各国の電光掲示板に「LONDON]と表示されるにも関わらずロンドンには無い。丁度東京国際空港が千葉県にあるのと同じだ。




heathrow



 ヒースローはアメリカのJFK空港に次いで発着機が多い空港である。 ヒースロー付近で上空を見上げると分かるのだが、時たま10機以上の旅客機が旋回している。 運が悪いとランディングまでロンドン上空を何週も旋回して、「燃料大丈夫なの??」と不安な思いをする羽目になる。 「ヒースロー空港、只今大変混雑いたしております。着陸の許可が下りるまで今しばらくお待ちください」、そんなアナウンスが流れたら、例え着陸してからも簡単には降りられない。 まずゲートも込んでいるからだ。 この時点で12時間フライトの予定が、軽く14時間フライトになっている。 さらに、ゲートが混んでいるという事は、パスポートコントロールも混んでいる。 下手をすると2時間近く待たされる事になる。 僕の偏見かもしれないが、ロンドンのパスポートコントロールは大変厳しい。 最近はシステムが変わり、留学生でも事前にビザを入手してから入国するそうだが、以前はパスポートコントロールで大学の入学許可証、寮の証明書、そして銀行の預金残高を提示した上で、「何を勉強するの? 演劇? なんで演劇を勉強するのにイギリスを選んだの?」などと入学面接顔負けの質問をされ、運が悪ければ六ヶ月だけの滞在ビザをもらって、ホームオフィスに行くように促されたりする。 この日、僕は全ての悪条件が重なった上に、大学からの入学許可証にフルタイムの学生と明記がなかった為に、観光ビザ(三ヶ月)で入国し一週間以内にホームオフィスへ行くように促され、ヘトヘトになって売店で水を買っていた。 大きな旅行鞄3つ抱えた上にペットボトルが3つ入った手提げを手に、大学が手配してくれてるはずのタクシードライバーを探した。


誰もいない・・




焦って大学に電話すると、深夜だった為に留守番電話。 


寮に電話をして事情を話しても、管轄が違うから分からないとの事。 




帰っちゃったのかな・・・








はい










帰っちゃってました