準備編②
2025年5月
(旅行の5ヶ月前)
玉川温泉湯治関連の記事は私のブログから
準備編②
2025年5月
(旅行の5ヶ月前)
序章 準備編①
湯治へ行こう!
皆さんこんにちは。

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『ライオンのおやつ』
小川糸著 2019年発行
【瀬戸内海の小さな島にあるホスピスで穏やかに生をまっとうした33歳末期がん女性の物語】
私はがんになってから読書はかなりするようになった。大半は闘病記かがん専門医が書いた本か猫の本だ。闘病の様子をYouTube配信されているいわゆる闘病系ユーチューバーの動画もかなり見てきた。
でも、唯一避けていたのが末期がん患者を描いた本だった。
理由は「自分がつらい治療をしている最中に緩和ケアやホスピスの本を読んだら私自身弱気になってやがて本当に腫瘍が進行してしまうのではないか?」と思ったから。
弱気は最大の敵とばかりに緩和ケアの本は読まずつらい抗がん剤や放射線治療をがんばって乗り切ろうとされる人たちの闘病記や腫瘍専門医師が書いた本を読んでいた。
そのおかげもあってか私は今も再発なく生きている。
【2年半経過して心境に変化】
私はがんに罹ってからの2年半で色んな出会いがあり学びがあった。
がん友達の中には今まさにホスピスへの引っ越しを検討している人もいるしアメブロのフォロワーさんたちも皆さん様々な病状だ。
そんなフォロワーさんの中に『ライオンのおやつ』を読んで心洗われたという記事がありアマゾンを開くとこの本はすごい数のレビューが書かれてテレビドラマ化もされたような作品だとわかった。
ホスピスが舞台の本だったが今の私は強気にしなければならない時期ではないし本活の一環でよいかなと思いさっそく購入して読んだ。
【感想 ネタバレあり】
・瀬戸内海の静かな海を眺めるホスピスのロケーションが素晴らしい。
・主人公の女性ががんになった後、怒りからぬいぐるみを壊したり投げつけたりする葛藤、やがて現実を受け入れて壊したぬいぐるみを縫い直す行動は人間らしくもありすごく共感できた。
・主人公がライオンの家で過ごした期間はわずか1ヶ月なのにマドンナことオーナーの母性、調理スタッフ姉妹や歌のボランティア、似顔絵描きのボランティアとの交流、ワイン畑で働く青年とのデートに儚い恋愛感情、ホスピス仲間との交流、ホスピスで飼われている犬との触れ合いでまるで何年も過ごしているかのような濃密な時間を過ごしていたことに緩和ケアという場所に抱いていた悲壮感のイメージは払拭され安心感ややすらぎを得られた。
・主人公は地元の人間関係や親族との関係を終わらせて単身ホスピスに引っ越してきた。
しかし、主人公の友人から事情を聞いた父親(死別の実父ではなく育ての親)がまだ主人公が見たことないもう1人の娘(主人公にとって妹)を連れてきて合わせてくれた。再会した時は主人公がもう食べれない声も出せない、モルヒネで痛みを取る状態の中、最後の最後で父親と妹がきてくれた。結局人って1人じゃないんだ。どこかで誰かが見守ってくれていざという時は手を差し伸べてくれるものなんだと思えた。
・後半の主人公のもとへ天国から降りて声をかけてくれた訪問者たち。
主人公よりわずかに早く逝かれたホスピス仲間、主人公より若い年齢の時事故による死別をした母、ホスピスの愛犬の元飼い主たちとのやりとりは涙なしには読めなかったがこれこそが「天国ってほんとうにあったんだな」と読者に気づかせてくれる。
「天国なんて人間が都合よく作ったものにすぎない」と冷静に思う人もいることだろう。でも天国があるないなんて今生きている人は誰一人証明できないのだから人は亡くなれば天国で先に逝った者と再会できる可能性だってあるはず。
そこに死を迎える者、残される者の救いがある。
そんなことを思わせてくれた。
・ライオンのおやつの意味。
ライオンの家の由来はライオン=誰からも襲われることなく安心して暮らせる場。
おやつ
「週に1回ホスピス利用者の中からリクエストを受けて手作りしたお菓子」が一品出される。リクエストには幼いときのエピソードがありオーナーがリクエスト者の手紙を読んで思いを込めてみんなで食べる。
【51歳の今この本に出会えてよかった】
これまでたくさんの闘病記の本を読んで刺激や感銘を受けたが『ライオンのおやつ』は自分がこの先何年後か何十年後か分からないが【死への備え】が必要になった時に何を考えるべきか?何を思い出すのか?残された家族や友人のためにできることは?
ということを考えさせてくれる本だと思えた。
もちろんこれからも私は明るく元気に過ごしていくが心の片隅にこの本の主人公のように私よりずっと若いのに残りわずかな命を過ごすことを余儀なくされた人たちの思いもしっかりと受け止めて一生懸命生きていきたい。