以前よく使っていた題材です







むかしむかしあるところに

おじいさんとおばあさんが住んでいました


ある日のこと

毎日の日課である

おじいさんは山へ柴刈りに

おばあさんは川へ洗濯に行きました


おじいさんが山で順調に柴を集めていた頃

川で洗濯をしていたおばあさんは

川上に何かを見つけました

よく目を凝らして見てみると

それはどうやら桃のようでした

それなりに離れたところから

それでも桃とわかるのならば

それは大層大きな桃だろうと

おばあさんが思って

しばらく待っていると

それが近づいてきました

やはりかなり大きな桃でした


川は大きな桃が流されるくらいなので

それなりに流れは早かったのですが

一番深いところで

140cm強の自分の腰くらいと

おばあさんは知っていたので

桃を取ろうと急いで川に入りました


少し流れに持っていかれそうになるも

腰を落とししっかりと踏ん張り川底を蹴り

桃が流れてくる地点まで行き

おばあさんは桃を待ち構えました


どんぶらこどんぶらこと流れてくる桃


そしてついに

桃がおばあさんの目の前まで流れてきました


「ぬんっ!!」


気合いと共におばあさんは

流れてきた桃を受け止めました


桃はおばあさんの2/3くらいの大きさでした


おばあさんは桃を軽々と右肩に担ぎ

川岸へと戻って行きました

そして

一度も桃を下ろさず

タライを左手一本で持ち上げ水を捨て

その中に洗濯物を入れて脇に抱えました


そのまま

1km先の自宅まで

決して平坦でない

そして

今のように整備されてない道を

一休みもせず歩いて行きました

そして

自宅に着いて

ようやくタライと桃を下ろしました


しばらくすると

おじいさんが山から帰ってきました


おじいさんは桃に驚きましたが

おばあさんのしたことには

驚きませんでした


早速桃を食べようと

おばあさんが包丁を持ってくると

桃を気合い一閃真っ二つに割らんと

包丁を頭上高く構えました

そして


「しゅっ!」


短い吐息とともに

おばあさんは包丁を振り下ろしましたが

その刹那

桃の中に何かの気配は感じました

慌てて包丁を止めましたが

果肉に30cm程刃は入っていました


おばあさんは慌てましたが

気配はまだありました


慎重に桃を切っていくと

なんと中には

桃の果汁まみれの男の赤ちゃんがいました


子供の居なかった

おじいさんとおばあさんは大層喜び

果汁まみれの赤ちゃんを

思いっきり抱きしめました


そしてこの赤ちゃんに

「桃太郎」と名付け

育てていこうと思いました







以上

「おばあさんすげぇ」

でした