久慈川水系の地獄橋(久慈川水系での沈下橋の呼び方)現状確認ツーリング、後半です。
余談ながら、360°カメラでの撮影をしながら、暑い中を自転車で……というのは、
正直、時間ばかりが掛かって、あまり大した数を回ることができません。
それにもまして、久慈川水系はコンパクトな範囲に結構な数の地獄橋がある地域ですので、
興味のある方は調べて、実際に訪問してみてください。
車で、普通に撮影しながら回る程度であれば、
もっとたくさんの地獄橋を楽しむことができると思います。
さて、
久慈川から支流の浅川に移動してすぐに次の地獄橋。
ここも一見すると木製の地獄橋のように見えますが、
橋脚はコンクリートパイルだし、流木除けもゴッツイ鉄筋コンクリート製。
周囲がすっきりしているし、樋管の周りが以前は無かったフェンスで囲われた様子から察するに、
橋は流木除けのおかげで無事だったものの、令和元年東日本豪雨災害の際には、
樋管の周辺に被害があったのではないでしょうか?
ここらでは浅川沿いの道路は未舗装の能動だったりするもので、
走りづらい道をしばらく走ると次の地獄橋。
余談ながら、こうした欄干を備えない橋には橋名を記した親柱もないし、
浅川沿いの地獄橋の場合、河川敷占有許可標識も設置されていないため、
橋の名前がわかりません(´・ω・`)
それにしても、
この辺りは河川敷の再整備も行われていないなぁ……。
ちゃんと国は仕事をしろよ! などと思いながら、次の橋を目指します。
というのも、
西日本豪雨災害でもそうでしたが、
その後のこの地域に被害をもたらした令和元年東日本豪雨災害でも、
河川敷の流れを悪くする林立した樹木や密生した竹林が、
随分と悪い影響を与えていたようでした。
そして、その時期には、一定程度は手が入っていたように見えたのですが……
喉元過ぎれば……なのかなぁ、と、思ったところで、
良かった! ちゃんと河川敷を整備しているみたいですね。
放置された期間が長すぎて、河川敷の再整備なんて、
すぐに終わるものではありません。
少しずつでも着実に進めていってくれるなら、
最近増えている豪雨災害でも、一定程度は被害を軽減してくれると思うので、
ちゃんと整備を続けていることがわかって一安心です。
だってね、
これですもの。
泊まらずに、走りながらシャッターを切ったから写っているのはこれだけですが、
この立派な材木の山が3つも並んでいたんですよ。
と、いうことは、
この河川敷だけでも、これだけの樹木が生えているのを放置していたわけで、
そりゃ川から水が溢れた時に流れを妨げて、土手の変な場所が決壊したり
越流したりもするわけですよ。
そうして十分な水を持っていたつもりでも、
しばらく店も自販機も公園もない中で水を切らせて、
久しぶりに見かけたセブンイレブンで水分補給をしながら小休止。
セブンイレブンに立ち寄るために、
ちょうど久慈川支流の浅川と山田川の中間あたりに来たついでに、
山田川の地獄橋に寄り道することにしました。
しょっちゅう標識部分まで冠水するのでしょう。
古強者といった風格さえ感じる耐荷重標識を備える地獄橋。
手前の土がむき出しになった辺りには、
かわいらしい野ネズミさんもいたりして。
近づいてもピクリとも動かずに目を閉じて、私をやり過ごそうとしていましたが、
あまりに動かないので心配になって50㎝まで近寄ると、さすがに逃げていきました。
野ネズミって走って逃げるんじゃないんですね、ぴょんぴょんと飛び跳ねて逃げていきました(^^;)
さて、
山田川の地獄橋に寄り道したのは、
せっかくだからついでにこれを見たかったんですよね。
分かるでしょうか?
桁に路面の木材を打ち付けた釘が、橋に対して斜めに並んでいるのが。
他の地域の端では、私は見た記憶がないのですが、
山田川辺りの地獄橋では、こうした面白くも合理的な桁の渡し方をしていまして。
これが普通の木造冠水橋の桁の渡し方。
桁材は路面に対して水平に並ぶので、側面から見てもツライチで揃います。
これに対し、
こちらが上で紹介した山田川の地獄橋。
斜めに渡されているために、橋脚の上で互い違いに並びます。
こうして比べると一目瞭然で、
通常の端では橋脚の上に半分しか桁材が載らないのに対して、
斜めになっていることもあり、山田川方式では橋脚の幅以上の長さが載ることになります。
流木が桁材に衝突した時には従来型では簡単に脱落してしまうでしょうが、
この方式であれば簡単には脱落しないだけでなく、
桁と桁の間にも桁が詰まっているために、そもそも動かしづらくなります。
もちろん、橋脚と橋脚の間の長さ以上に桁材の長さが必要になるために、
コストは余計にかかるはずですが、とてもよくできた構造だと思っています。
さて、浅川に戻りまして、
……と、軽く書きますが、Googleさんおすすめルートは道も悪くてアップダウンも大きく、
場所によっては10%以上のそこそこ長い下り坂があったりもしましたが、
浅川の地獄橋。
この広がった構造は、土手に直結した橋では機能的に感じるものですが、
これもまた、他ではあまり見かけないわりに、久慈川水系ではよく見られる構造です。
続いては、木造抜水橋の刀細工橋。
前回の八万橋に近い様子ですが、こちらは上に載ってみるとギリいける! という感じで、
渡らせていただきましたが、桁の上からはずれると腐った橋板を踏みぬけると思いますので、
渡らないことを強く推奨します。渡る際には自己責任で。
せっかくなので、
八万橋とここ刀細工橋の現状について少し補足すると、
恐らくですが、ここも抜水橋のはずなのに、令和元年東日本豪雨災害の時に冠水したか、
あるいはほぼ浸かるような状況にまでなったのではないかと思われます。
そうした際に、
久慈川水系の木造橋では路面を構成する12×12cm程度の木材と木材とが
1cm程度のすき間を置いて設置されているために、通常であれば水が抜けやすいのです。
ですが、
八万橋も刀細工橋も、冠水を想定しないが故に、
車が通行する際にタイヤが通行する部分を木の板で覆った構造になっています。
これが冠水後の水はけを悪くして、桁材まで腐らせるのに一役買ったように思われます。
橋を長持ちさせるための板が、橋の寿命を大きく縮めるというのも皮肉なものです。
そして最後に、
ここも名称不明の地獄橋。
前回訪問時までは冠水しそうなんだけど、するのかどうかの確信が持てず、
「地獄橋形式」としていたはずですが、今回初めて間違いなく冠水することが確認できました。
とはいえ、あまりと言えばあんまりな状況です。
この状況で昨年の台風シーズンから放置されたとは考えづらいというか、
できればそうであってはほしくないなぁ……なんて思うので、
もしかすると先日の梅雨入り前の台風2号の豪雨でも溢れたのかもしれません。
実は当初の予定では、この後に流れ橋かもしれない場所をいくつか回るつもりでしたが、
帰りの電車も考えるとこの辺りでタイムアップ。
Googleさんのナビゲーションで、最寄り駅まで移動して輪行帰宅しました。
もちろん、Googleさんのおすすめコースは、川沿いを走る道路だというのに、
秩父の山の中でもあまり見ないようなひどい上り坂から、急角度で下る細くて路面も悪い道と、
短いながらもスリリングな工程でした(^^;)
Googleさんはまともなナビゲーションができないのでしょうか?
ここまでの道中も、通行止めや途切れた橋は、全部渡れと支持してきたし(苦笑)。
おまけでこちらは帰りの列車で気になった看板。
水郡線、サイクルトレインをやっているんですね。
機会があれば利用してみたいとは思うのですが、
水郡線までの区間は輪行袋必須。
となると、
サイクルトレインを利用しても、
列車の中で組み立てて出発準備を整えたり、
自転車のまま列車に乗り込んで、車内で輪行袋にしまい込む程度の意味しかないわけで
……予約してまで利用するには、なんとも微妙なところです(^^;)
ともあれ、
思っていた以上に令和元年の爪痕はまだ癒えていないようですし、
近いうちに、ほかの地獄橋の様子も確認しに行きたいと思いました。