前回の流れ橋跡から道路沿いに西に移動するとすぐに次の流れ橋。
場所はこちら。
道路から見ると、こんな具合。
よく整備された、日当たりの良い竹林の間にある割と大きな人の踏み跡。
その向こうに2径間の流れ橋。
流れ橋としてはかなり特異な場所に設置されていますが、
水に浸かって流出することを避けるため、できるだけ持ち上げて設置することで、
冠水して流出する機会を減らし、渡れない期間ができるだけ生じないように、
橋板を戻す手間をかけなくて済むように、という設計思想です。
この場所で右手を向くと、
こんな具合に鉄パイプが埋め込まれて、
そこに鋼線ワイヤーで係留されています。
以前に来たときは、藪を入った先の樹木の幹に係留されていましたが、
これもまた、設置位置からできるだけ近い位置に係留することで、
鋼線ワイヤーの遊びを減らし、できるだけ近くに打ち上げられるようにという変化でしょう。
ワイヤーが長くなると自由度が大きくなり、最大まで増水した時にはこの高さに流出しますが、
徐々に水が少なくなった時に、水と一緒に板も下に降りてしまうことになります。
するとどうなるか? というと、
橋板を戻すときに川に降りないと板に手が届かないといったこと以上に、
橋板を戻すまで、水に浸かっている時間が長くなり、早く引き上げないと橋板の痛みが進む、
そうしたことへの配慮かと思われます。
というわけで、これが対岸からの振り返り。
橋板はこの通り、途中の橋脚の下流側を取り廻したワイヤーで接続されて、
竹林のある川の左岸=北側の高い位置に乗り上げて流出する構造です。
上流側から見るとこんな具合。
流れ橋として長く使われたことによる機能性だけでなく、
周囲の景観も含めて、とても良い雰囲気の流れ橋です。
この感じがもう、ね。
なお、見てもらうとわかる通り、住宅の柱に使うような木材を5本も束ねているので、
渡る際にはほとんどたわむこともなく、安心して渡ることができますが、
戻す際には、1径間だけでも一人や二人では持ち上がらないと思われます。
それだけに、最初の写真に戻ってもらうとわかる通り、
川の右岸=南側は道路から河川敷までユンボなどで不通に乗り付けられる地形なので、
人が集められるなら人の手で、それが無理なら小型重機を手配して、
橋板を戻すのかも知れません。
できるだけ流出しないように、という部分は、
廃止された先日の流れ橋跡の地形でもクリアできるのですが、
いざというときに河原に複数人で安全にアクセスすることができるし、
小型重機でも普通に乗り入れられる地形というのがまた、
この流れ橋が生き残った理由なのでしょう。
いつも通り、次回はこの橋の360°写真での照会になります。