井上荒野さんの「生皮」の感想を投稿の後、
あれはのめり込んで読んでしまって、
読んですぐに、そのまま、
何故、今更、告発したりするのか?
分からない。
そんなことをしなければ、
夫を傷つけることも無かったし、
仕事を失うことも無かったのに!
なんて、安易に思ったままを
書いたけれど、本当にそうだろうか?
と、ちょっと反省。
セクシャルハラスメント。
何年経っても消える傷ではない。
それを、相手は、月島は、
傷をつけた、などとは思ってない、
どころか、そんなことも忘れている。
だから、そうではない!
あなたは私を傷つけたのだ!と
分からせたかった?
今持っている全部を無くしても、それでも
どうしても、それをしなければ、
咲歩は、その傷から逃れられなかった?
そしてきっと小荒間洋子も、
そうだった!
咲歩の告発をきっかけに、
今まで、自分で誤魔化してきた感情に
気がついた。のかな?
セクハラ、というのは、それほど重い、
罪なのだ、ということを。
「生皮」が長くなりました。
そして、この岩井圭也さんの「汽水域」
これもとても重かった💦
そして、これも安易に感想を書くと、
やっぱり上すべりしそうなのですが、😰
主人公の安田は、フリーの雑誌記者
6歳の息子はいるけど、離婚していて、
月一度の面会だけが許されている。
東京亀戸の歩行者天国で、
男が通行人を刃物で切り付け
3人が死亡、4人が負傷する。
という事件が起きる。
すぐ逮捕された犯人、深瀬は35歳、
「死刑になりたかった」
と動機を話した。
安田は、
深瀬の過去を知る人たちにインタビューを
重ねていくけれど、
深瀬は、ギャンブル依存の父親のせいで、
貧しい家で育ち、それでも何とかこの環境から
ぬけだしたい、と東大に入る、ということを
目標にする。
そして事実、高校2年までは、それは
可能なほどの成績でもあった。
昔の同級生たちは、みんなが口を揃えて、
深瀬は頭が良かった!という通りだった。
だけど、父親は莫大な借金を残して
行方不明になり、結局、深瀬は、高校を中退して
働かなければならなくなった。
深瀬の過去は、安田本人の過去とも重なり、
安田は深瀬に強く心を寄せていく。
そして、その不幸な過去から、
深瀬の真意が知りたい。
本当に深瀬に殺意があったのか?
深瀬だけを糾弾して、それでいいのか?
などの記事を書く。
そして、その記事をきっかけにして、
深瀬の模倣犯が現れて…。
安田はその遺族から、あなたの記事のせいだ!
と訴えられる。
報道というもの。
国民の知る権利、と。
どこまでを、どういう視点で、
どう書くのか?
本当のことなら、何でも書いていいのか?
というような
報道というものの難しさ😓
そんなことを考えると、まず思い出すのは、
安倍元首相の事件。
最初、事件の一報では、たぶん誰もが、
安倍さんの無事を祈り、犯人は許せない!
と思ったと思うけど、
その犯人の主張、過去、事情が分かるにつれて、
安倍さんを悼む気持ちは変わらないけど、
何となく、犯人だけが悪い訳ではないのでは?
という世論が多くなって…。
これは、だけど、その報道のおかげで、
救われた人もいるのだから、
ただ、その前に、
安倍さんが犠牲になる前に、
何か、方法はなかったのか?
何もなくても、その犯人の主張を、まともに
報道してくれる、というようなメディアが
あったか?
そんなことを、また考えました。
本の最後には、
自分の周囲に張り巡らされた命綱を
思い出してほしい。
もしたった一つでもその命綱があれば🙂↕️
あの人を悲しませたくない。
あの人に迷惑をかけたくない。
また、あの人の歌が聴きたい。
また、あの人の作る作品を見たい。
そんなものがあれば、握った包丁を、
カバンに戻すことができる。
そんな記事が書いてありました。
またまた重い本でした。
明後日は、万博閉会式!
最後、頑張って、見て来ます!
泣きながら帰ってくるかな?