万博、夜のシャインハット。
イベントホール、です。
5月の「義経千本桜」の歌舞伎も、ここでありました😅
プロジェクションマッピング、とても綺麗。
篠田節子さん。
珍しく男性が主人公です。
たぶんこの主人公は、私とほぼ同世代です。
高学歴のエリート。
大学卒業後、証券会社に勤務。
読んでいると、○○証券、だね👍
と分かります。
私も証券会社に入ったけれど、
その頃、○○證券のことは、
私の勤める証券会社では、
おぼっちゃま証券、と揶揄して呼んでましたね😂
とても上品な社風でした😆
そして自分の勤める証券会社は、
社章を皮肉って、ヘトヘト証券と自分達で呼んでいました😣
主人公、高澤は、順調にエリートコースを
あゆみ、30代半ばで、ニューヨーク支店に、
海外赴任になり、妻と息子と共に渡米する。
が、高澤の人生、順調だったのは、
ここまで、で、
妻が、アメリカにどうしても馴染めない、と
精神的に不安定になり、
突然、子供を連れて日本に帰ってしまう😰
話し合いのため、何度も日本と往復したけど、
結局、離婚になってしまった。
それでも、「男の本分は仕事だ」と
独り身の気楽さで、仕事に打ち込み、
ひとりの生活に慣れた頃に、
突然の会社の破綻😱
これでやっぱり〇〇証券だ!と分かります。
あの「社員は悪くありません!」の
社長の大泣きの会見は、
あの〇〇証券らしくなく
なんとなく呆然としてしまいました
海外勤務の同僚達が、残務を放り出し、
我先に、帰国して転職活動を始める中で、
高澤は、結局全ての後始末を、ひとりで、背負い
2年後、やっと帰国できる目処がたつけど、
が、その頃の金融不安の中で、
転職先はなかなか見つからない。
ニューヨーク時代、唯一の友達付き合いのできた、
同じビルの二つ上のフロアで、働いていた田村の
強力な推薦で、やっと大手の損保会社に、
転職先が決まる。
が、やはりここも、状況は厳しく、
支店次長の高澤に任されたのは、
代理店のリストラだった😵
そして、9月11日.疲れて帰って、習慣でつけたテレビで、
高澤は、ついこの間まで働いていたニューヨークの
ビルが、崩壊する様子を見る。
損保の仕事を紹介してくれた田村も
それで亡くなったことが分かる。
田村のためにも、と
苦労を重ねながらも、高澤の誠実で、細やかな
対応で、やっと、ほとんどの代理店の整理が
ついた日、高澤は、帰りの電車で
立ち上がれなくなり、次の日も起きられず、
そして、鬱病の診断を受ける😰
無理をして出社しても、また立ち上がれなくなる、
ことを繰り返し、そして、高澤は、
自己都合退職というかたちで、事実上解雇された。
野心や出世のためというより、
責任感と義務感で仕事をする、
そんな普通のサラリーマンが、
貧乏くじを引く時代。
家庭は崩壊し、会社は破綻、
そして倒壊するツインタワーと
親友の死。
思いもよらなかった、人生の第二幕。
どのようにして人生をたてなおし、
切り開いていくか?
高澤は、結局、大学の同窓のツテで、
50歳で、東北の地方都市の三流大学の教授に
なるのだけど、
それもまた、ほぼ息子と同世代の
理解の及ばないような、若い世代を相手に、
それまでの企業の論理などは
通じず、暗中模索を繰り返しながら、
それでも学生達に、真摯に向き合って、
いくのだけれど、
報われないと思った、
そうい高澤の姿勢は、
序序に、実を結んで、
学生達の意識も変わっていき、
そして思いもかけないほどの成長を
見せたりするようになる。
その頃、別れた妻は、離婚後、息子を連れて帰って
ずっと頼りに生きてきた両親を続けて見送り、
遠くの大学に行った息子は、
突然、7歳も年上の女性に、
子供ができたから結婚する、と言い出す。
子供だけを支えに生きてきた妻は、
生命以上に大事な息子なのに、と
結婚式では、静かに泣き続け、その妻を、
ひとりで、帰すのは忍びなくて、高澤は、思わず、
やり直そうか?と、話しかける。
ちょうど、もし離婚していなければ、
その年はふたりの銀婚式の年なのだった。
久しぶりに、ちゃんとした?長いお話を
読んだなぁ、という気分です。
ちょうど主人公と同じ時代を生きてきたので、
変わっていく時代の中で、
苦労する主人公に、同情する気持ちと、
「男の本分は仕事」という、
本当にそれは、幸せな人生なのか?
という気持ちはあるけれど、
それでもまだ、私の中には、
今の時代にはとても迎合できない、
「男の本分は仕事」という意識が
根強く残っているのを感じています。
やはり、息子たちには、まずキチンと
社会人として仕事をして欲しい。
まぁそれは、家庭を持ったなら、それも大事にしながら、という
都合の良い条件もつくのですけど😝
私たちの時代には考えられなかった、
男性の育休も、1年半などと聞くと、
ちょっと、えっ!と驚きますね😝
お話は、主人公たちが、50代半ばで
終わっているので、それから、
また10年、今のこの時代に生きたなら、
60代後半になった主人公は、
どういきているのでしょうね。