たぶん、どなたかのブログで
紹介されていたものなのでしょう。
図書館で、予約していたようです。
「かんむり」
元同級生で、大好きな人と結婚し、
夫婦になり、子供を持ち、
その結婚生活の喜びや、
そしてそれを続けるための努力や苦悩が、
書かれたお話です。
最初の頃の、
若い間のお話は、ほぼ斜め読みで
飛ばして読んでしまいました。
ああこれは、私が読むのは
無理なんじゃないかな?と思っていたのですが、
後半、主人公が五十代になった頃からは、
じっくり入りこみ、読みました。
四十代で、
誘われてそこに進みたかった会社は、
夫がリストラにあったことで、
進むことを選べなかった。
その会社が成功し、大きく発展していくのを
見るたびに、
選ばなかった道が、正しい道だったのだ、
と思い知らされるようで、辛く、
その会社のサイトに、批判的なコメントの
レビューを何度も繰り返し送ることを
やめることができない。
夫の教育方針は、時代錯誤で、抑圧的で、
ひとり息子は、そんな夫の考え方を嫌い、
海外移住を決めてしまう。
そして
夫の3度目の転職先は、とても怪しく、
そこで熱心に働く夫も信じられない気がする。
何もかもわからない。
こんなはずではなかった。
正解がわからない。
主人公のこんな苦悩は、
とても切実に分かります。
それなのに、この主人公は、それでも、
まだ結婚生活を続けていく。
もしかすると、みんなそうなのかな?
自分を宥め、ごまかし、見ないふりをし、
結婚生活を続ける努力を
していくものなのかな?
でもそれは、根底に
夫に対する深い愛情があるから、
出来ることなんだよね。
私は出来なかった。
最後に夫を亡くし70代になった主人公が、
なにをやってもいいんだ、と思うシーンは、
とても印象的です。
愛する時間は終わったのだ、と。
愛は素晴らしいけど、
でもとても難しくて重たい一事業だった。
ともかくそれをどうであれ終わらせた。
祝ってもいいんじゃないか、と。
実は、ほぼ並行して
「ははのれんあい」という窪美澄さんの
本も読みました。
これも、夫婦の、家族の話です。
そして、この本も、
最初の頃のお話は、
この「かんむり」と混同するほど似ていて、
やはり斜め読みで過ぎました。
そしてやはり、結婚生活には、いろいろの
問題があり、そして、
こちらは離婚し、その後は、
子供からの視線でお話は続いていきます。
父親が再婚しできた家族への、
複雑な思いや、
離婚後、猛然と働くようになった母親への
違和感、気遣う思い。
子供からの視線だと、
本当に両親の離婚は、とんだ災難だなぁと、
つくづく思います。
それでも、その中で、成長していき、
父親の家族も受け入れていき、
そして母親にできた恋人のことも
喜べるほど大人になっていきます。
結婚生活を
ただ続けるだけが良いことだとは
思いませんが、
でもやはりそれは漫然と努力もせず、
出来ることではないでしょう。
自分を宥め、ごまかし、
見ないふりをすることも、
大変な努力です。
そうして結婚生活を続けている人たちも
立派だなぁと思っています。
「かんむり」は、少し先の世界のお話の
ようです。今四十代の世代かな?
だから私にはちょっと理解できないような
感覚もありました。
とにかく、私は、
結婚生活、というだけで、
ちょっと拒否感があるほどで、
今でも、離婚したことは、
最上の決意だったと思っています。
だけど、
だからこそ、かな
ずっと結婚生活を続けている人たちを
立派だなぁと思うのです。
「かんむり」の中の
主人公のように、夫が亡くなるまで、
ずっと一緒にいて、
はじまったものを、キチンと終わらせた、
と満足は出来ないですけどね。