とても不思議な感じのする本でした。

この本の前に、川上未映子さんの著作の中では、

たぶんいちばん評価されている?「ヘブン」を

読みかけたのですが、

前半で、なんだかとても辛くて、

途中で読むのをやめてしまいました。

この本は、「ヘブン」とはぜんぜん違います。

「乳と卵」とも「夏物語」とも

少し違う感じがするし…。

だけど私はかなり好きです。


どういうお話しなのか?

と尋ねられたら、どう言えばいいのか?

戸惑うような。

主人公の冬子の観念?のみのお話で、

冬子の恋のお話しではあるけど、

その恋の相手も、なんだか実在感もなく、

ただただ冬子の中でのみ、

膨らんで、そして終わって、

冬子の中にだけ余韻が残っていて…。


ただその存在感の薄い冬子をカバーするように、

出版社の社員石川聖が登場してきて、

現実の出来事のアレコレは、

この聖が、賑やかに表現してくれて、

その対比で冬子の静けさが、

より分かるような感じです。


冬子は、フリーの校閲者です。

校閲という仕事は、

私も、本に拘る仕事をしたいと思っていたため、

図書館司書の資格や、校閲も勉強したので、

とても興味があったのですが、

冬子が、校閲者は、本は読まないんです、と

好きな人に説明していて、

そうなのか!と驚きました。

校閲という仕事は、ただ間違いを探す作業で、

本を感情をいれて読んでいると、

仕事にならないんだと。

やはり何でも仕事になると、楽しい部分は削られるのですね💦

お給料の良さに釣られて、証券会社に就職し、

しばらく、いろいろ後悔したこともありますが、

やはり、本は読むだけのもの。

読書は、純粋な楽しみ、にして良かったようです。


不思議な余韻の残るお話しでしたが、

この冬子のような、

静かなひっそりとした

だけど深い感じがする生活は、

これから私がそうしたいと思う生活です。


けれどもけれども現実は、

とてもそうはいかず、

波風立ちまくりです💦

20年前、なんとなく取っていた調理師の資格が役に立ち、社員で入れた今の飲食店は、

仕事柄、当然静かにひっそりとはいきません。

もう引退間近の今でさえ、

アレコレとつい振り回されています。 

冬子のような生活は、

今の仕事を辞めてしまわなければ

無理なようです😰

だけど今、もう中心にはいないからこその余裕で、

もう少し、このドタバタも楽しんで

見ていようか?とも思っています。

私の性格では、

冬子のような生活は、相当枯れないと

無理なのかもしれません💦