宮本輝さんの本も、たくさん本棚にあります。

「錦繍」は、私の中では、

ずっと宮本作品のなかのナンバーワンだと

思っていました。


「蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登る

ゴンドラリフトの中で、まさかあなたと…」

という書き出しは、暗誦できるほどですし、

もうそれだけで、何か劇的なことがおきるような、

きっと面白い!という予感がする、というか?

元夫婦だった男女の往復書簡。

物語の舞台も、馴染みのあるところだし、

中の会話も関西弁で…。

とても感情移入して読んだものです。


10年前の、二人が別れなければならなくなった

事件が、お互いの立場から語られ、

その時のお互いの思い、苦しみや悲しさや、 

が語られ、

事件の真実も語られ、

それから再会するまでの10年間が、語られ…。

そして、何通目か、

お互いの今現在を語るようになった時、

手紙の内容は、それまでの暗い感傷的な、

観念的なものから、

突然猥雑な日常の生活が、語られるようになり、

その日常を語ることが、

ふたりを、これからの未来に向かわせる力と

なっていく。


これを何度も読んだのは、30代の頃です。

今、読み返してみても、やはり最後は感動的で

泣いてしまいますが、

とても生意気なことをいうと、

今の私には、前半部分は、ちょっと飾りが

ありすぎるような。

観念的なものが、あまりにも多く語られて、

ちょっと重い感じが😅

昔は、そういうところこそを評価していたのにね🤣

文章の綺麗さは、今でもハッとするほどです。

最近のものは、ほとんど読んでないのですが、

80年代に書かれたもの、昔夢中になった本棚にある

宮本さんを、また読み返してみようかと思っています。


真っ赤な紫陽花も撮ってみました爆笑