「義一君、今日は帰ろう。」
「ああ・・・。」
井上佐智が崎にそう言った時
「はじめまして、崎義一さん。」
悟が翔君から離れそう言った。
「昴流、翔疲れてるみたいだから楽屋に連れていって。」
「・・・わかった。翔君、楽屋で待ってよう。」
「はい。井上さん、崎さん。ありがとうございました。」
翔君はそう言って礼をすると2人の横を通りすぎ
「昴流さん行きましょう。」
俺を見て笑ってそう言った。
さっきまでの表情と違う。
悟が来たことで翔君は安心したのか。
悟、お前の言う通り、お前がいないとダメなのかもな。
「翔の事を確かめに来たんですか?崎さん。」
「ああ・・・。」
「島岡さんにお話はしてあります。こちらは・・・翔が自分を取り戻せるならそれでかまいません。」
俺たちが楽屋に戻った後
「翔が傷つく事がなければ、という条件がつきますがね。」
悟が崎が睨みあって
「彼が託生なら・・・
俺は・・・
託生を傷つける事はしない。」
そんな会話をしていたなんて思わずに
「崎義一、あいつはいったい何者なんだ?」
悟とあって笑顔になった翔君を見て、俺はそんなことを考えていた。