「これ・・・。」
その写真の中。
皆上の胸元に光るネックレスに見覚えがあった。
「義一くん?」
「このネックレス・・・。」
自分の首にかかるネックレスをはずすとチラシと並べてテーブルに置いた。
「俺が・・・祠堂3年の春。
一緒にいられない託生に送った・・・
これと同じネックレスを・・・。」
写真の中。
小さなネックレスはイルカの形をしていて・・・。
「たく・・・み・・・なのか?」
そう呟きながらもう一度チラシを手にした。
「会って・・・見る?」
佐智はそう言うとチケットを1枚、俺の前に置いた。
「あさっての東京公演のチケット。準備させたんだ。
僕もこの目で確かめたくて・・・
託生君なのかどうか・・・。」
託生が・・・いる。
託生が生きている。
「行く。この目で確認したい。
俺が・・・
託生をわからないわけがないから。」
そう答えた俺を見て
「そういうと思ったよ、義一君。」
佐智は笑顔で俺を見た。
笑っている皆上。
もし、こいつが託生なら・・・
きっと俺を見て笑ってくれるはずだ。
そして・・・
なぜ別名を使っているのか・・・
それも話してくれる。
このときの俺はそう安易に考えていた。
彼が託生だと疑っていなかったから・・・。