「ま・・・まさか・・・。」
「僕もそう思った。でも・・・。」
そこに映っているのはコンクールの出場者ではなく、ゲストピアニストだった。
笑顔で一礼するとピアノの前で大きく深呼吸をし椅子に座る。
期待するな。
世の中には似てる人間がいるっていう。
違うそんなはずがない。
日本にいたなら・・・
俺が・・・
うちの企業力で探せないわけがない。
「彼は・・・皆上翔君っていうピアニストだそうだ。」
「皆上?託生じゃ・・・ないんだな。」
「名前、経歴を見ると違うと思う。
でも・・・。」
佐智は演奏する映像を見ながら
「音が託生君なんだ。」
そう言った。